2018年12月20日

世代や出身で異なる?ダサイタマの受け止め方~俺は『なぜディス』をこう読んだ~

世代や出身で異なる?ダサイタマの受け止め方~俺は『なぜディス』をこう読んだ~

ライター : シオ・コージ

前回の投稿で書いたように、地元春日部の書店で『なぜ埼玉県民だけがディスられても平気なのか?』(以下「なぜディス」)を入手し、さっそく読ませていただいた。

書店検証『なぜディス』は春日部~幸手市民に届いているか?

2018年12月13日

書店検証『なぜディス』は春日部~幸手市民に届いているか?

著者の鷺谷さんの意見にはほぼ賛同だったが、なかには「ちょっとこれって違うかな……」と思う部分もないではなかった。


第4章の論旨で感じた違和感

とくに本書のキモと思われる第4章「なぜ埼玉県民だけがディスられても平気なのか」では、埼玉県を地理というヨコ軸だけでなく歴史というタテ軸からも論じて、非常に興味深いものだったが、この論旨には少し引っかかるところもあった。

おそらくこの違和感は、鷺谷さんと僕との世代的な違いからくるものだろう。

世代や出身で異なるダサイタマの感じ方の違い

80年代、ダサイタマバッシングの嵐が吹き荒れていたころ、僕は多感な10代のど真ん中だった。大人の階段のぼるシンデレラボーイだったのです。

そうです、僕らはワンウェイ・ジェネレーション、じゃなかった、「ダサイタマジェネレーション」なのです。

たしかにそのころ僕のまわりの同級生には「ダサイタマ」というワードに過剰に反応するヤツが多かった。

まさにベンケイの泣きどころ、触れるだけで痛むゲキリンというやつだ。

東京から埼玉に移り住んだ者として

僕自身はどうだったかというと、表面上はつとめてなにげなく、このバッシングを無視していた。

なぜなら僕は生まれてから10年ばかり、れっきとした東京都内に住んでいたからだ(足立区だけど)。

いくら周囲から「ダサイタマ!」の罵声を浴びても「オレは出身東京だからね」と涼しい顔でいられたのだ。

しかし内心では屈辱感に燃えていた。

いくら正真正銘の東京生まれ東京育ちであろうが、現在は埼玉の田んぼの中でウシガエルの鳴く声を聞きながら、あぜ道をチャリこいで学校まで通う日々を過ごしていることには変わりないからだ。

そう、都会で生まれ育ったはずなのに、ダサイタマの汚名を甘んじて受けねばならぬことに、当時の僕は激しく憤っていたのです。

大都会東京に対し憧れを隠さない友人たちを、僕は心のどこかでバカにしていたと思う。

東京に住んでいた過去があったので、あの町がそんなに華やかで楽しい場所ではないことぐらい、心底知りぬいていたからだ。

けれども、まわりの人間に調子を合わせ「東京、オシャレだなー、カッコいいなー」と言ってなければバカにされ、友人関係から排除される。「おまえ、東京の魅力がわかんねーのか?だせーなー」といったように。

そういう周囲の人間こそが、僕から見ればダサかった。つまりやっぱり「埼玉はダサイ」という結論に落ち着くわけだが。

「東京に憧れるほうがダサイんだよ」と正論をぶつけたところで、それは、東京を知らない田舎モンの負け惜しみだよ、と言い返されればグウの音も出ない、ここに埼玉をめぐるジレンマがある。




強制的に埼玉に帰化した者の言い分

『なぜディス』には

「あこがれて埼玉にやってきた移民は郷土愛が高い」

というくだりがあるが、個人的にはむしろ真反対だ。

それまで住んでいた都会と比較すると、埼玉は不便でアカ抜けなくて、郷土愛なんて持ちたくても持ちようがない。

そもそも当時少年少女だった僕らの世代は、みずからの意志でここに移り住んだわけではない。

家の事情でなにもわからすに引っ越してきて、なかば強制的に埼玉県に帰化させられてしまったのです。

『なぜディス』の著者プロフィールによれば、鷺谷さんは生粋の埼玉生まれ埼玉育ちだそうで、僕ら途中からの転入組とではそのへんに違いがあるような気がする。

埼玉県は変わった

いまは首都圏のドーナツ化も一段落して他県からの移民も減り、純粋な埼玉育ちのサラブレッドも増えているでしょう。

彼らが屈託なく「埼玉が好きだ!」とストレートに地元愛を表現できるのが、正直うらやましく思えます。

僕らの頃は「イナカが好きなの?だせーなー」と言われていたから。

あのころとくらべ、埼玉もサマ変わりして便利でオシャレになった。

ひょっとしたら鷺谷さんたちの世代には、僕ら世代の屈辱が実感できないかもしれない。

ダサジェネの闇は深い

まあ、昔の恨みをいつまでも引きずり、過去の怨念に縛られているのはやめるべきだろう。

そう反省し、ここ最近はわりと地元に目を向けるようになった。

ただし「地元バンザイ!オラの郷土は世界一!」みたいには死んでもならないでしょう。

それだけ、ダサジェネレーションの心の闇は深いのです。

いつか10倍返ししてやる!

地元を愛しているような顔をしながら、ダサジェネは逆襲の機会をたんたんと狙っているのです……。

 
書籍『なぜ埼玉県民だけがディスられても平気なのか?』埼玉県の書店・反応まとめ

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「ダサイ」から「翔んで」へ…埼玉イメージの変遷をたどる

シオ・コージ

五十代にもなってフリーライター兼フリーター。埼玉県東部の地域フリーペーパーを中心に執筆。得意ジャンルは本、映画、音楽などですが、書く場所がなくてもっぱら個人ブログで発表。春日部市在住。



関連リンク


なぜ埼玉県民だけがディスられても平気なのか?

https://www.amazon.co.jp/dp/4198647267

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