「八潮秘宝館」館主・兵頭喜貴が八潮市に移り住んだ理由
公式ライター : シオ・コージ
埼玉県八潮市の、知る人ぞ知るディープスポット「八潮市秘宝館」取材の後編です。
2020年02月05日
埼玉屈指のディープスポット「八潮秘宝館」に潜入!
館主の兵頭喜貴さんに、八潮市という街の魅力や特徴、故郷・愛媛からこの町にたどり着くまでのライフストーリーをうかがいました。
兵頭さんのディープなお部屋
秘宝館2階の奥に、兵頭さんの自室がある。
壁を埋め尽くすフィギュアや貴重な資料の数々。秘宝館もすごいが、こちらもなかなかだ。
部屋の隅には高級なカメラや撮影用機材。
日大大学院芸術学研究科出身の兵頭さんは、映画や写真にも造詣が深く、これまでもお気に入りの人形たちを使って、写真集やポストカ-ドを制作している。
地方へ出かけて撮影した写真集の1ページ。
草に埋もれた廃墟をバックに、ミリタリーコスチュームに身をつつんだドールたちの魅力満載だ。
「ロケ地は岩手などが多いです。撮影の際は自家用の軽バンに人形を積んで撮影旅行に向かいます」
人形を荷台に満載して東北道をひた走る軽ワゴン車、これもすごい光景だ。
波乱万丈のヒストリー
1973年に愛媛県で生まれた兵頭さん。
地元県立高から東海大学に進学し、映画の制作などに励んだのち、いったん故郷戻り就職。
しかし町の議員をしていた父の死後にふたたび上京、日芸大学院に進む。
住む場所もはじめは川崎の登戸、そしてサブカルの聖地、高円寺にも一度は居を定めた。
いかにも兵頭さんにはぴったりな町に思えるが「あまり住み心地はよくなかったですね」とのこと。
その後、葛飾区を経て、この埼玉県八潮市にたどりつく。
「はじめこの土地に来た時にピンとくるものがありました」
ひとめで八潮市を気に入った兵頭さん、父親の遺した保険金800万をもとに八潮市の家を購入。
しかし同じ年に脳出血を発症してしまい、現在もビル清掃のバイトをしながら病院に通っている。
「秘宝館を始めたきっかけは自分のコレクションを公開したかったから。将来はここを居酒屋にして同じ趣味の人たちが集まる場にしたいです」
八潮市を兵頭さんと歩く
街歩きも趣味だという兵頭さん。
地元を案内してくださるというので、うららかな日差しのもと、雑談をかわしながらのんびり散策となった。
秘宝館のまわりは昔ながらの商店街。近くには神社もあり、広い境内は日当たりも良好だ。
埼玉の東のはじっこのほうに位置し、あまりスポットライトが当たらないイメージの八潮市だが、東京とも境を接し、住み心地は悪くなさそうだ。
今まで何もなかった場所につくばエクスプレスが通って開発が進み、地元では「川向こうは八潮市じゃない」という声も聞かれるなど、同じ市の中で格差も抱えているようだ。
「つくばエクスプレスも、運賃がもう少し安ければ秋葉原あたりまで頻繁に出ていけるんですがねー」
と兵頭さん。たしかにTX、少々お高い。
通りはそれほど広くないが、路駐の車が何台も停まっている。
「このへんは駐車違反の取り締まりもユルユルですからねー」と兵頭さん。
なにげに住みやすそうな町、八潮市。東京に近いし意外と穴場かもしれない。
兵頭さんによれば「某サイトで『住みたくない町1位』とディスられましたが」というが。
それって、そうだ埼玉.comじゃないですよね……?
海なし県でタンカーが
少し歩くと中川に出る。
川沿いに歩き続けるとかすかに潮の香りが。
「とても関東の海なし県に住んでるとは思えません。それも八潮市に移り住んだ理由です」と兵頭さん。
マリーナもあり、高級ヨットが何隻も係留されている。
対岸には石油の備蓄施設もあり、東京湾からタンカーが航行してくる。
まさか海なし県の埼玉でタンカーを目にすることができるとは。
かつては江戸から中川をさかのぼって舟が行き来し、水運も盛んだった土地柄らしい眺めだ。
「この時間帯にタンカーが来るのは珍しいですね」
悠々と進む船にスマホを向け撮影する兵頭さん。
「小岩ではタンカーの座礁事故も起きたらしいです」とB級ニュースまで教えてくれる。
風変わりな隣人たち
「このあたりにはちょっと変わってる人も多いんです」と兵頭さん。
歩きながら「変わった方」が住んでいるという家もいくつか案内していただいた。
といっても住人の方に直接お会いしたわけではなく、外からウォッチングしただけにとどめる。
詳しくは書かないが、たしかに一風変わった感じだった(写真はイメージです)。
八潮市のこのあたりは埼玉と東京、両方から川で隔てられた地形だ。
一見、人の目の届かない立地条件なので、古いものやちょっと変わったものが残っているのかもしれない。そんなところも兵頭さんのお気に入りだ。
「埼玉のメディアに載れてうれしいです」
前回「そうだ埼玉.com」で紹介されてから兵頭さんの公式ブログ「日刊・兵頭喜貴」も、PVが上昇中とのことだ。
「大新聞などのマスコミよりも地元のメディアに載りたかったのでちょっと嬉しいです」と兵頭さん。
「埼玉は住みやすいけど、これっていうものがない印象なので、もっと埼玉の人にアピールしたいですね」
将来、カルチャーの聖地となりそうな街・八潮市。
もちろんその中心は、兵頭さんの秘宝館となるだろう。
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サイタマの片隅に生えた雑草ライター。県東部の地域フリーペーパーを中心に執筆。得意ジャンルは本、映画、音楽などですが、書く場所がなくてもっぱら個人ブログで発表。春日部市在住。