八潮秘宝館が映画化!「HYODO」公開に向け館長・兵頭喜貴氏の素顔に迫る
公式ライター : シオ・コージ
無類のラブドール愛好家であり、埼玉の隠れたディープスポット「八潮秘宝館」館長の顔も持つ兵頭喜貴さん。
このほど彼の全貌を描いたドキュメンタリー映画「HYODO」が完成、全国各地にて劇場公開される。
同時にラブドール写真展も開催されるなど、コロナ禍を乗り越え八潮秘宝館と兵頭喜貴が再始動!
コロナ感染を乗り越え……
以前の取材時よりあきらかにパワーアップ!
埼玉県八潮市の一角、東京との境に位置する八潮秘宝館。
数年ぶりに足を運んでみると、以前はなかった大きな飾り窓ができており、中には妖しげに微笑むラブドール。
しばらく来ていないうちに確実に進化をとげているようだ。
※前回の様子はこちら↓
飾り窓の女。
久しぶりにお会いする兵頭さん、事前の情報ではなんと8月はじめにコロナウィルスに感染していたらしい。
「一番ひどかったのはほんの1日だけでしたが、その後気力が出ない状態が続きました。ウイルスのせいだけでなく処方された薬の成分も影響していたようです」と兵頭さん(以降、カッコ内はすべて兵頭さんの発言)。
もともと難病を抱える身の兵頭さんだけに体調を心配していたが、思いのほか元気そうな姿を見てひと安心。
女性も多く訪れる八潮秘宝館
館内に入ると、前回の取材と同じく多くのラブドールたちに迎えられる。ああ、カオスな世界……。
あれからほぼ3年。秘宝館にはどんな変化があったのだろうか。
もっとも深刻だったのはやはり、コロナの影響であろう。
感染拡大以降、来館者はいちじるしく減少。それまでは年間300人をかぞえた来館者数が、2020年は100人ほどダウン、とくに海外からの観光客が落ち込んだ。
「現在は少しずつ戻ってきました。この間はイギリスから1人来ましたし、今月中にまた女性が2人来ます」
ワールドワイドな知名度の八潮秘宝館。わが県としても誇りに思える名スポットだ。知られざる、ではあるけれど……。
秘宝館は今夜もオープン
あどけない表情がオトコを誘う。
「わたくし、大日本ラブドール党です」
来館者の割合は男女ほぼ半々。ラブドールに関心を示す女性も意外に多いのだそうだ。
館長の兵頭さんそのものを目的に訪れる人も多く、酒を飲みながら長時間語り明かすこともあるとか。
10代の来館者急増の理由
ヨロイ兜もいさましい。
コロナ後のもうひとつの変化は、10代の来館者が増えたこと。
「僕の推測ですが、大人がコロナの不安であまり出歩かなくなったぶん、10代の子たちが小さなテーマパークやお化け屋敷をのぞきに来る感覚で集まるようになったのでは」と冷静に分析する兵頭さん。
ティーンたちはおもにネットの情報で秘宝館の存在を知るようだ。「そうだ埼玉.comの影響力も大きいですよ」と兵頭さんのうれしいお言葉。
映画になった兵頭さんワールド!
映画「HYODO」チラシより
そんな兵頭さんのユニークな日常が、このたびドキュメンタリー映画という形でまとめられた。
タイトルはずばり「HYODO―八潮秘宝館ラブドール戦記―」。9/2(金)より東京・池袋のシネマロサ、吉祥寺アップリンクで公開される。
同月なかばからは関西方面に拡大公開、日取りはまだ未定だが名古屋、横浜でも上映が決定している。
3Pをくりひろげるラブドール。
気になる映画の内容を兵頭さん自身に語っていただこう。
「まずメインとなるのは2004年から2006年にかけて僕が個人的に撮りためていた動画です。とくに購入したラブドールが僕の手元に届いた瞬間の場面は衝撃的だと思います」
その後兵頭さんのラブドールが盗難にあうという事件が発生。まもなく盗まれたラブドールがヤフオクで売りに出されたことから犯人をつきとめ、裁判に持ち込んでの争いが映画の見せ場のひとつとなる。
頼りのはずの警察も敵にまわす形となり、秘宝館にも家宅捜索が入った。「警察側には見せしめの意図もあったようです」
愛するラブドールと自由のために権力と闘う兵頭さんの姿がスクリーンで見られるかも。
いやー、期待は大きくなるばかり。都内や関西で上映後はぜひお膝元の埼玉でも凱旋上映してほしい。イオンモールのシネコンなどいかがだろうか……いや、客層が違いすぎだわな。
劇場で兵頭さん本人に会える!
上映時間2時間の大作「HYODO」の監督・撮影・編集などをつとめたのは元SMスナイパー編集者の福田光隆さん。
兵頭さんとは10年以上にわたる旧知の間柄。「福田さんは個人でイベント等を開催していたがコロナの影響でできなくなったそうです。2020年の暮れに福田さん製作のネット配信番組に出演したことが今回の映画のきっかけとなりました」と兵頭さん。
9月3日(土)にはシネマロサ、アップリンク両館で上映後に兵頭さんの舞台挨拶も行われる。生の兵頭さんの姿にふれる絶好の機会を逃すな!
秘宝館がアートギャラリーに!
映画の公開と連動して、八潮秘宝館ではラブドールをテーマにした写真展も8月26日(金)から開催される。
すでに準備が始まっており、壁には大きな写真パネルがいくつもかかっている。
これらは東京在住のラブドール愛好家・miyakoさんという女性の作品。ラブドールと一緒に本人がおさまった写真もあり、ぱっと見、人形と並んでもまったく違和感を感じさせない美しさだ。
ラブドールに囲まれたmiyakoさん(中央)。
会場には写真のほか実物のラブドールも展示されているが、こちらもmiyakoさん所有のもの。まさに類は友を呼ぶ……。
ラブドールは埼玉の名産品だった!
ほかにも、ラブドールをつくるためにゴムを流し込む型や骨組みなど、よそでは見られない珍品も展示。「型は工場から譲り受けました。埼玉には大きなラブドールの工場が2,3軒あるんですよ」
また、今回の写真展のため秘宝館では大がかりな改装がおこなわれたとのこと。
たしかに以前取材したときより壁も真新しく、間接照明も設置されて、より本格的なアートギャラリーに近づいた印象。エアコンもとりつけたので、快適さも倍増だ。
基本、工事のほとんどは自分自身で手がけたので業者さんを頼むより安く上がったという。この手づくり感も秘宝館の魅力のひとつかも。
顔面の陳列。これがほんとの「面陳」。
まとめ
映画「HYODO」を撮った福田さんや出演者の方々、ラブドール愛好家のmiyakoさんなど、個性ありすぎな人脈を持った兵頭さん。映画を通じて彼のユニークな人間性に興味を惹かれたら、ぜひ八潮秘宝館までお越しいただきたい。
最新の情報は「兵頭喜貴×miyako×八潮秘宝館×LOVE DOLL」 開館情報へアクセスを。
http://blog.livedoor.jp/hyodo_shasin/archives/50855374.html
入館料は1000円。今回のように取材が入ったりもするので開館は不定期となっている。
お越しの際は前もって兵頭さんまでご連絡を。
「写真撮影・飲食物の持ち込みも自由です。宴会も大歓迎」とのことだ。
夜もふけてますますアヤしい秘宝館。
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サイタマの片隅に生えた雑草ライター。県東部の地域フリーペーパーを中心に執筆。得意ジャンルは本、映画、音楽などですが、書く場所がなくてもっぱら個人ブログで発表。春日部市在住。