埼玉屈指のディープスポット「八潮秘宝館」に潜入!
公式ライター : シオ・コージ
文化不毛の地といわれがちな埼玉だが、知る人ぞ知るディープなサブカルスポットも存在する。
その名は「八潮秘宝館」。
ネットなどではたびたびその名があがっているが、秘宝館という性格上、日の目を見る機会は少ないようだ。
いったいどんな場所なのか、そして秘宝館の館主である兵頭喜貴(ひょうどうよしたか)さんとは、どんな人なのか。
期待と、わずかな恐怖心を抱きつつ、県南東部の八潮市へ足を運んだ。
静かな住宅街のなかに秘宝館が
昼下がりの静かな住宅街。
見た目はなんということもないごく普通の二階建ての建物。
これは本当に秘宝館なのか……?
入口の上にでかでかと「八潮秘宝館」とピンクの看板。
やはりここに間違いない。
となりの玄関には「来館希望者は連絡を」と携帯番号が手書きされた札、ドアのカギ穴はなぜかテープでふさがれ、あやしさは倍増だ。
手書きの携帯番号に電話、「取材をお願いしていた者ですけど……」とおそるおそる切り出すと「どうぞー、いま開けまーす」と予想外に気さくな声が返ってきた。
いざ禁断の館へ潜入!
がらりと戸が開いて顔を出したのは、当八潮秘宝館の館主・兵頭喜貴さん。
愛媛県出身の44歳。
入口で靴を脱いで六畳ほどのスペースに上がる。
周囲はまさに秘宝館の名にふさわしいSMチックな光景。
人形を天井から吊るしているわけは、時間の経過で素材が溶け、床にくっついたりしないためということだが、これも猟奇ムード盛り上げに一役買っている。
「ラブドールには、ソフトビニール製、シリコン製、ラテックス式、空気式など様々な種類があります。空気式は数千円で買えますが、精度高くなればなる程、価格も上がり、最も高価なシリコン製は50万円以上します」
あら、意外とお手頃価格。
「思ったよりも多く生産されてるんですよ。ふだんあまり目につかないだけで」
と兵頭さん。たしかに人目に触れる場所に置いとくものじゃないわな。
「このいちばん右の人形はさわってもOKです。いかがです?」
兵頭さんにうながされ、ラブドール童貞の筆者はおそるおそる胸に手を伸ばす。
触られすぎたのか、オッパイの先端部分は素材が劣化していた。
ラブドール本体だけでなく、人形製作に使用される型の数々も展示。この型にシリコンを流し込み成型するらしい。
兵頭さんはそのほうの業界ともつながりが深く「メーカーさんが工場を縮小する際に不要になったものを譲り受けてきました。あやうく捨てられそうだったので」とこともなげに語る。
透明なケースに入れて展示された人工性器。これもなかなかのレアものらしい。
異様な展示の数々に驚きを隠せずにいる筆者に「それでは奥へどうぞ」と笑顔でうながす兵頭さん。
ここはまだほんの序の口らしい……。
奥の間で待ち受ける人形たち
奥の展示室はこんな具合。
露光不足で不鮮明な写真が多く申し訳ないが、秘宝館の幻想的なムードを再現していると思ってお許しいただきたい。
人形の鼻がもげているのが猟奇ムード倍増。
「いえ、これ運んでるときにうっかり壊しちゃっただけです」
とお茶目な兵頭さん。
兵頭さんのもうひとつの顔がミリタリーマニア。
第二次大戦中の軍服や従軍看護婦の衣装をまとったラブドールも多い。
「これだけのコレクション、集めるにはさぞかし費用が……?」
おそるおそる尋ねると
「いや、知人からのもらい物や拾い物も多いです」
と兵頭さんの答えに思わず拍子抜け。
たしかにどこにも売ってないようなものばかりだが、こんな珍品がそのへんのゴミ捨て場に無造作に捨ててあるのだろうか……。
「それでは次は2階の展示を……」兵頭さんの指さす先の暗がりに、ぼうっと浮かびあがる木製の古い階段。
えっっ、まだ二階もあるんすか?
2階はSF映画の世界観
2階も赤や緑の電飾に彩られ、耽美なムード。
少女と添い寝するガイコツがゴスロリチックだ。
「1階の展示は常設で、2階は期間ごとにテーマを変え企画展示を行っています」
と兵頭さん。
現在は『ブレードランナー祭』を開催中。
「ブレードランナーの舞台は2019年11月なので、それにあわせて今回の展示をスタートしました」
いわずと知れたカルトSFムービー『ブレードランナー』。
昭和48年生まれの兵頭さんはリアルタイムで観ることはできなかったそうだが「あの映画のあと続々と作られた類似品的な作品が好きなんです。アニメの『装甲騎兵ボトムズ』とか(笑)』
『ブレードランナー』にも人形の館で暮らすセバスチャンという青年が登場したが、この秘宝館もセバスチャンの部屋そのものだ。
人形の手に主人公デカードの銃を握らせたりと、芸も細かい。
いやー、何枚写真撮っても足りない。
どこを撮っても絵になる風景ばかり。
ぜひご自身の目でたしかめていただきたい。
八潮秘宝館のブレードランナー祭は2月24日まで開催中。
来館の際には前もって予約が必要なので、兵頭さんまでご連絡を!
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サイタマの片隅に生えた雑草ライター。県東部の地域フリーペーパーを中心に執筆。得意ジャンルは本、映画、音楽などですが、書く場所がなくてもっぱら個人ブログで発表。春日部市在住。