ベルクに一言物申す
編集長 : 鷺谷政明
埼玉県鶴ヶ島市に本社を構えるスーパー「ベルク」は、関東に138店舗あり、埼玉だけで80店舗近くある。
県民なら誰もが知る、ヤオコーと並び埼玉を代表するスーパーだ。
そんなベルクについて、ちょっと思うことがある。
レジ袋統一してくれ問題
今やどの店でもスマホ決済ができるようになったが、使える種類は店によってバラバラだ。
このお店は楽天Payが使えない、ここはd払い、ここはモバイルsuica……また、店によっては、スマホ決済自体導入していなくて、まずい、現金あったっけ、と焦るときもある。
2020年7月1日から有償化となった、レジ袋の扱いも、店によって微妙に違う。
レジ袋の有無は、会計時にサイズを指定して購入するパターンが一般的だろうか。
「レジ袋有料ですが、おつけしますか?」と聞かれるパターンも多い。品数が少なければ、「このままで(レジ袋おつけしないで)よろしいですか?」と聞かれることも。
私の知る限りだが、ベルクは、どの店ともレジ袋の扱いが違う。
「レジ袋いりませんカード」を商品と一緒に渡さないと、必ずレジ袋がついてくるのだ。
こちらが何も言わないと、勝手にレジ袋がついてくる。
そのため、買い物バッグを持参しててこのカードをつけ忘れると「あっ、レジ袋いらないです」と慌てて言うことになる。
埼玉県民は気が小さいから、このときとても、悪いことをしたような気持ちになるのだ。
「レジ袋いりませんカードないからつけようとしたのに、いらんのかい」
と店員に思われているのではないかと。なんかすいませんと。
ベルクの考え
レジ袋は、
「言ってつけてもらう
(=言わないとつけてもらえない)」
「言ってつけないでもらう
(=言わないとつけてもらえる)」
どちらが、我々にとって自然だろうか。
「言ってつけてもらう」が一般的のような気がする。
なぜなら、レジ袋が有料だからだ。
有料のものを勝手につけるということを、店側はしない。
しかしなんと、ベルクのレジ袋は、無料なのだ。
ベルク公式Xより
無料なんだから、何も言われなければ勝手につけてもいいでしょう、ということになる。客からすれば確かにそうだ。
そもそも、2020年7月以前の世界線では、それが当たり前だった。
ここであなたはこう思うかもしれない。
「どうせ無料なら、レジ袋いりませんカードつけ忘れようがなんだろうが、そのままレジ袋つけてもらえばいいじゃないか」
と。
主婦の方にはご理解頂けると思うが、買い物バッグを持参してきたのにレジ袋をもらうのは、なんだか負けた気がするのだ。自分に。
だから、「ああ!レジ袋いらないんだった、このカードつけるの忘れちゃったんです!すいません!」ということになって、ちょっと気まずくなる。
なぜベルクのレジ袋は無料なのか
ではなぜ、ベルクはレジ袋を無料でつけるのか。
「当社はSDGsクソ喰らえです」
というパンクスタイルのわけでは決してない。
実はベルクのレジ袋は、動植物から生まれた再利用可能な有機性の資源「バイオマス素材 25%配合」のレジ袋を使用していて、これだと、法令に基づく有料化の対象外となるのだ。
さらに、「レジ袋いりませんカード」を出すと、会計が2円引きになる。
つまりベルクは、レジ袋に一手間かけることで客の負担を減らしてくれていたのだ。
おそらく、ベルクの考えはこうだ。
レジ袋有償化といっても、お買い物バッグを忘れて来てしまう人もいるだろうし、偶然立ち寄る人もいるだろう。かといって、レジ袋にお金を出すのがなんか嫌で、意地でも手で抱えて持って帰ろうとする人もいるだろう。
であれば、バイオマス素材 25%配合のレジ袋を使って、無償で提供してあげよう。そして、買い物バッグを持参した地球に優しい人には、2円割引してあげよう。
手間も、金銭的リスクも請け負って、ベルクは客に還元してくれている。究極のSDGsマインドだ。
ベルクスタイル最強説
そう考えていくと、全スーパーがベルクスタイルになってくれた方が、客としては一番良い。
そもそもベルクは、たいていどの店舗にもリサイクルステーションを設けていて、これがゴミを出し忘れちゃったときに本当に助かる。
ゴミの分別は、各自治体がどれくらい大きな焼却設備を有しているかで変わるので、分別が多い地域や回収頻度が少ない地域だと、大いに助かる。
こういうところを見ても、かなり客ファーストなところが伺える。
さらにベルクの従業員は、金髪もOKだし、ネイルもピアスもOK。
ベルク公式サイトより
客ファーストでありながら、そこで働く者へも優しい。
こういった企業方針以上に感銘を受けたのは、このことを、店頭やレジ前で大々的に掲示していたことだ。
ベルク公式Xより
本来なら、従業員の頭髪や服装などは社内ルールであって、我々に告知する義務はないように思える。
店内の重要な販売促進スペースを削ってでも、ベルクは従業員の身だしなみに関する掲示をおこなった。
これは、おしゃれを楽しみたい従業員にとって、かなり心の余裕が生まれるはずだ。
私の格好は店に了承を得ていることであり、その上で私は仕事をしているのだという、心強さが芽生える。
ベルクは翔んで埼玉ともコラボしたり、こんな商品を出してみたり、
埼玉を忘れず、遊び心があって、新しい形で攻め続ける。
ある意味では、本当にパンクスタイルと言えるかもしれない。
いいだろう、こんなスーパーがある埼玉って。
※本記事は、2023年9月1日に配信の「そうだ埼玉メルマガ -ベルクに一言物申す-」を一部加筆修正したものです
埼玉ポーズを作ったクリエイティブ・ディレクター / SNS総フォロワー12万人 / 小説『ブルーハーツを聴かずに親父は死んだ』web連載中