【2021魅力度ランキング】調査方法がおかしい?群馬県知事激怒するも埼玉は安定の…
編集長 : 鷺谷政明
民間の調査会社「ブランド総合研究所」が毎年発表する都道府県魅力度ランキング。
当サイトでも毎年取り上げてきたが、今年は様相がいつもと違うようだ。
関東圏のランキング
こちらが2021年の魅力度ランキング。
出典 : ブランド総合研究所
関東のランキングを抽出する。
04位 東京 (前年4位)
06位 神奈川(前年5位)
12位 千葉 (前年21位)
41位 栃木 (前年47位)
44位 群馬 (前年40位)
45位 埼玉 (前年38位)
47位 茨城 (前年42位)
東京と神奈川はトップ10の常連組であるが、注目すべきは千葉の躍進である。
千葉が伸びた理由
21位から12位と、9つもの順位を上げたのは、今回の結果ではトップ。
このランキングにおいて、今年一番飛躍したのは千葉県ということになる。
主に20代からの支持が、昨年から約4倍増えたという。
コロナ禍において近場で遊べる場所として千葉の良さが評価され、実際に、温泉・レジャー施設の魅力を問う項目では千葉が全国1位。
「東京ディズニーリゾートがコロナ禍で入園を制限された分、より憧れを持つ人が増えたのでは」と、ブランド総合研究所が分析している。
「でもそれって、ディズニーランドがある県ランキングで千葉が1位ですっていう話じゃね」とか言ってる輩がいたので、そんな奴はとっちめて、私は「埼玉はディズニーランドがある千葉の隣にあります!」と声を大にして言いたい。
埼玉は、千葉県様の隣です。幕張近いです。
茨城が最下位の理由
2019年まで7年連続最下位であった茨城は、昨年42位まで浮上し、最下位を脱出した。
国体史上初となるeスポーツ大会を開催したり、県公認のVTuber「茨ひより」の活躍など、デジタル県をアピールできたことが若い世代からも評価され、最下位脱出に繋がったといわれた。
出典 : ひよりんの部屋
今年、再び最下位になってしまったのは、コロナ禍の影響で全国的にオンライン化が進み、茨城の強みが薄まってしまったのではと、ブランド総合研究所は推察している。
わかるような、わからないような。
群馬県知事激怒
ランキングの結果を受け、各知事がコメントを出した。
茨城県「痛くも痒くもない」
大井川和彦茨城県知事は、「ランキング自体、賞味期限が切れてきた感じは若干ある」としたうえで、「県民の1人当たり所得が全国6位になっている」とPR。
また、「痛くも痒くもないというのが県民の本音」と、メディアの取材に答えた。
佐賀県「気にしない」
46位の山口祥義佐賀県知事は、「佐賀県の良さはリピーターが多いこと。気にしないでしっかり魅力を伝えていきたい」と話している。
群馬県「法的措置」
昨年、過去最高の40位から、44位へのダウンとなった群馬県。
山本一太群馬県知事は、
「根拠の不明確のランキングによって、本県に魅力がないと誤った認識が広がることは、県民の誇りを低下させるだけでなく、経済的な損失にもつながる由々しき問題である」とし、
「内容をしっかり精査し、法的措置も検討していきたい」
と会見で話した。
また、自身のブログでも、
「こんな根拠の不明確なランキングの順位に、振り回されるようなことはない。が、過去のブログで約束したように、毅然とした対応を取らせてもらう。今週中に検証チームを招集し、今後の手順を話し合う。」山本一太公式ブログより
と記した。
これに対し世間では
「大人気ない」
「逆にイメージダウン」
「行政が法的措置をチラつかせるのは良くない」
といった言葉が寄せられた。
確かに私も、当サイト及びそうだ埼玉TV(You Tube)や、書籍や講演などにおいても、今後群馬のことを変にいじると、県から怒られるんじゃねーかという思いが、よぎるかもしれない。
埼玉県を見習って笑いに昇華させないと、なんて声もあるが、実は山本一太群馬県知事は、以前からこの「魅力度ランキング」に不信感を抱いていた。
魅力度ランキングの疑問
出典 : 山本一太公式ブログより
先に紹介した、ブログの一文にある「過去のブログで約束したように」の一節は、メディアで取り上げられる際、割愛されている。
そう、実は今年の7月18日から29日まで、知事は「ブランド総合研究所の都道府県魅力度ランキングの問題点を徹底検証する」というタイトルで、全6回に渡り記事を投稿しているのだ。
ここでの主張を要約すると、以下3つ。
(1)魅力度を1つの項目のみで評価していること。
出典 : 山本一太公式ブログ
日本総合研究所の都道府県幸福度ランキングにおいては、全国比較が可能な75にのぼる多角的な統計指標を用いて総合評価をランク付けしているのに対し、「どの程度、魅力を感じますか?」という1つの質問のみで、地域の「魅力度」をランキングしているのはおかしい。
(2)回答に対する配点が不自然であること。
出典 : 山本一太公式ブログより
回答の選択肢と点数は、「とても魅力的」が100点、「やや魅力的」が50点で、「どちらでもない」「あまり魅力的でない」「全く魅力的でない」は全て0点。なぜ等間隔に点数を配分していないのか。
(3)下位の25県が僅かな点数内にあり、順位が容易に変動すること。
出典 : 山本一太公式ブログより
(2020年の)23位の大分県から47位の栃木県までは、わずか7点の中に25県が密集している。この傾向は検証した平成29年以降同様。ふるさと回帰センターの「移住希望地ランキング」においては、上位20位のみを公表しているように、アンケート調査が全数調査でない以上、必ず誤差が生じるため、専門家からも「下位のランキングには(変動しうる範囲なので)意味がないと思われる」とのご意見を頂戴している。
なるほど、これらを鑑みると、あながち的外れな指摘だとも思わない。
そもそもあなたも、ランキングの順位はなんとなく知っていても、この調査がどのようにおこなわれているかは、あまり知らないのではないか。
昔は「抱かれたい男ランキング」なるものもあったが、我々は、回答している女性がどんな人か知る由もなく、上位のイケメンたちをなんとか真似ようとして、どんどん抱かれたくない男になっていったのではなかろうか。著者はそうだ。
捉え方はそれぞれ違う
それくらい我々は、会話のネタ程度にしかこのランキングを捉えていない一方で、県のトップの人間としては看過できないという気持ちはわかる。
昔に比べれば少なくはなってきたが、住みやすさ云々よりイメージだけで引っ越し先を決める若者も当然いるわけで、そこにはこういったランキング結果が、影響していることもあるだろう。
一つ言えるのは、「抱かれたい男ランキング」然り、こういったものを笑ってやり過ごすような世の中ではなくなってきているという点だ。
魅力度ランキングにおいても、心に余裕があるときはいいが、コロナ禍で各地域・各自治体が奔走している中で「おたく魅力度最下位です」とか言われると、いい加減にしろこのやろうとなってしまうのかもしれない。
そんな中でも埼玉県の安定感はやっぱりすごい。
『翔んで埼玉2』の制作が発表されると、県民は大いに沸き、こう叫んだ。
「待ってました」
これが埼玉県民です。
埼玉ポーズを作ったクリエイティブ・ディレクター / SNS総フォロワー12万人 / 小説『ブルーハーツを聴かずに親父は死んだ』web連載中