「埼玉県の運転免許更新で現金使えず混乱続出」報道の実態
編集長 : 鷺谷政明
今年1月から、埼玉県では免許の更新時に、現金払いができなくなりました。
「混乱続出」「戸惑いの声」「猛反発」
など、ネットでは大きく扱われることとなりましたが、私はこの報道が出た2024年1月、埼玉県内の警察署に免許の更新に行ったので、現場の様子をお伝えしたいと思います。
大野県知事「トラブルはない」
出典 : 埼玉県公式YouTube chより
大野県知事は、この件に関して今年1月16日の定例会見で、こうお話されています。
「県民との大きなトラブルなどの報告はなく、おおむね順調なスタート」
「1月4日から7日までの実績として97%の人がキャッシュレスを利用した」
本当かよ。
とも思いますが、会見では
「昨年末(移行期)の段階で、県警からキャッシュレス決済窓口が混雑しているという報告があった。その後、直ちに混雑が見込まれる時間帯に職員を手厚く配置をし、サポートするなどの対応を取った結果、現時点では大きな混乱は全く報告をされていない状況」
とお話されています。
つまり、2023年10月から開始したキャッシュレス決済の動向を見ながら、1月からの原則キャッシュレス決済化に向け対策を取ってきたことが、トラブルを防げていることに繋がっているのだと。
すると、「混乱続出」と書いているネット記事とは大きく違ってきます。
どちらが正しいのか。
私が見たキャッシュレス免許更新
出典 : 埼玉県警公式
結論から言うと、全くトラブルにはなっていませんでした。
私が行ったときがたまたまそうだった、ということも考えられますが、あれって少なくとも、40分くらいは待つんですよね。
受付に行って、渡された用紙に必要事項を記入して、提出してまた待って、視力検査してまた待って、写真撮ってまた待って、ようやく講習に入って、終わる。
その間いつ呼ばれてもいいように、窓口付近の椅子に座って待つわけですが、高齢者の方も含め多くの人が受付をする中、トラブルになってる様子は一度もありませんでした。
私の実体験だけで言うと、大野県知事の発言が正しく、ネットが煽りすぎのように見える。
ネットでは「混乱続出」の声
今年1月、免許の更新に行った人の反応は、おそらくこの3つに分類されると思われます。
① 事前に現金払いができないことをわかっていた
② 当日知って仕方なく従った
③ 冗談じゃねえ!と騒ぎ出した
大野県知事の言葉をそのまま受け入れると、ほとんどが①か②だったため「おおむね順調なスタート」と評した。
では、「混乱続出」と書いた記者は、なにを見て言っているのか。
おそらく、ネット上の声を見て書いたのだと推察されます。
もちろん、私が見かけなかっただけで③の人もいたでしょうし、そのうちの何人かはそれをネットに投稿したのでしょう。
その声を拾って、東京都民と思われる記者が
「埼玉県の免許更新は大パニックになっている」
と記載し、それをネット民が拡散する。
すると、埼玉の警察署はどこも免許更新で大パニックになっているような印象を受ける。
このときの埼玉県民にとっては、こういったニュースがキャッシュレス化の周知に繋がるというメリットもありました。
ただこれがもっと重要な、我々の生き死にに関わってくるような喫緊の問題だったと考えると、ネットとの向き合い方は常に冷静でいる必要があります。
流されやすい種族の埼玉県民は特に。
埼玉は鴻巣オンリーだけど千葉は2つ
トラブルを抑えられたのは良かったと思いますが、免許更新の案内ハガキに、一文書いておいても良かったのでは、とは思いました。
「そろそろ更新ですよ」と教えてもらえるだけありがたいので、求めすぎかもしれませんが
「1月からは現金払いができません。キャッシュレスのみです」
の一文を加えるのって、発送する手間に比べれば、そんなにかからない気はする。
2024年7月現在は分かりませんが、私が更新に行った1月時点では、その文言はありませんでした。
余談ですが、埼玉県の免許センターは鴻巣市のみで、所沢や秩父方面の人からすると、最悪の立地となっています。
神奈川県も一箇所ですが横浜市にあるし、宿敵・千葉県は千葉市と流山市の二箇所にあります。
埼玉県の免許センターは、池袋に置くのが一番平和裏な解決なのではと私は思います。
現場からは以上です。
※本記事は、2024年1月19日に配信の「そうだ埼玉メルマガ -混乱続出?埼玉県の免許更新は現金払いができなくなった-」を一部加筆修正したものです
埼玉ポーズを作ったクリエイティブ・ディレクター / SNS総フォロワー12万人 / 小説『ブルーハーツを聴かずに親父は死んだ』web連載中