鴻巣が六本木に?進むもう一つの鴻巣駅東口再開発に迫る
編集長 : 鷺谷政明
鴻巣といえば、ポピー、免許センター、ひな祭り、花火などが有名ですが、もう一つ注目されているのが、事業認定から10年以上の歳月をかけて進められてきた、鴻巣駅東口の再開発。
エルミこうのす、アネックスなどのA地区はすでに終了しており、残すところあと「駅通り地区」のみとなりました。
出典 : marimo
ここでは現在、14階建てマンション「ポレスター鴻巣駅前ガーデンズ(共同住宅195戸、うち分譲戸数153戸)」が建設中で、隣には公園、店舗(建物の1階部分)が並ぶプロムナードなども整備されていきます。
この竣工が2019年5月頃とされており、これをもって、鴻巣再開発が完成を迎えます。
4月から開始したそうだ埼玉TV「鴻巣の夜を外国人と徘徊する」では、そんな鴻巣の夜の住人たちから、生の声をたくさん聞いてきました。
この再開発に関することから、今鴻巣が抱えている問題点など…
その中で、「鴻巣でもう一つの再開発がおこなわれている」という話を聞きつけ、鴻巣に取材に行ってきました。
鴻巣市民活動センターへ
そうだ埼玉TVでは、毎週かなり泥酔しているところばかりをお見せしておりますが、今回は昼に、シラフで鴻巣へ行ってきました。
もう一つの再開発のキーマンがいるという、鴻巣の市民活動センターへ向かいます。
ここは、駅直結のエルミこうのすアネックス内にある、こうのすシネマ。
個人的に、ここもう少しいい作品入れてほしい。
で、この左隣りにある、
ここ。
キーマンは、この市民活動センターを運営している人物なのだとか。
中に入るとコウノトリがお出迎え。
「鴻巣」の由来は、コウノトリ伝説からだからね。
※参考 : 女性たちが集まる鴻巣の人気パワースポット「鴻神社」
奥に進むと…
広っ。
埼玉あるある。駅前一等地のめっちゃ広いスペースを有効活用できてない説。
会議室もある。
「街活性室」とは
というわけで、この鴻巣市民活動センターを指定管理運営している会社「街活性室株式会社」代表の、斉藤徹さんにお話を伺います。
ーーー街活性室とは、どんなお仕事をされている会社なんですか?
「この市民活動センターと、他に2つのコミュニティセンターの指定管理運営をしてます」
ーーーなるほど。
「あと、日本文化を広めたいというところから始まった、東本願寺がおこなっているジャポニスム振興会の、東京事務局と埼玉事務局の業務受託を請けています」
ーーー指定管理運営とはまた違った業務ですね。具体的にはどんなことを?
「例えば神社で着物ファッションショーのイベントをやったり。基本的には鴻巣を中心にやっていますが、先日は春日部で円空仏展の開催支援というのもやりましたね」
ーーー日本文化による、地域の活性化のような感じもありますね。
「まさにそんな感じですね」
鴻巣の再開発とは
ーーー鴻巣の再開発って、つまりはなんなんですか?
「鴻巣の再開発計画は三つあって、一つはエルミショッピングセンター、で、この映画館(アネックス)、最後があのマンションのところと」
ーーーこういう再開発って、どういう経緯で始まるんですか?
「駅前をもっと整備して人が集まるようにしようと、市が主体となってやるんですけど、結果として中山道がダメになっちゃって、果たしてなんのための再開発だったのか、という意見もあります」
ーーー中山道がダメになっちゃった、って?
「ショッピングセンターができちゃうと、町中にある商店街とかに人が行かなくなっちゃうんです。駅前に人は集まったけど、中山道商店街はシャッターになっちゃったね、っていう」
ーーーそれはどの地域も課題ですよね。
「全国的にそうだと思います。現代において、個人商店などの小売りで成り立つのは、重飲食と、お菓子を含めた製造小売、あと手作り小物の、この3つしかないと思っています」
新たな再開発
商店の再生事業
ーーーそんな中、新たな再開発をされていると聞いたんですが。
「商店の中で、利益は出てるけど、跡継ぎがいない、っていうお店が結構あって。そこに事業承継という形で、もう引退されている昔一部上場企業とかにいた、経営を経験してきている年配のかたと、学生のインターンを組み合わせて、商店街の店舗の再生をしようと、今計画しているんです。商店の再生事業ですね」
ーーー高齢者の雇用を生み出す動きって「アクティブシニア」とか埼玉県もやってますよね。
「そうなんです。で、そういった番頭派遣システムなようなものにして、うまくいけばM&Aをするのか、もしくは若手とおじいちゃんたちがそのままそこを引き継ぐのか、みたいな」
街活性をマニュアル化
ーーー今そういうのやってるところってあるんですか?
「行政がやろうとはしてますけど、あんまりうまくいってないみたいですね」
ーーーそれはなぜ…?
「商店の人たちが、もう諦めちゃってるっていうのが、要因としてあるようです。M&Aしたいっていう、買い手はあるんだけど、売り手がいないと」
ーーーそれを街活性で担っていきたいと?
「事業承継の商業の活性化と、コミュニティーの活性化、この成功事例を鴻巣で作って、埼玉県内に波及させていきたいと思っています」
ーーーなるほど。
「言うなれば、街の活性化事業をマニュアル化して、地元の街づくりをやりたいという人と共同事業体を組んで、このノウハウを一緒にやっていきたいなっていう」
鴻巣が六本木に?
ーーーすでにもう始めてることってあるんですか?
「今は、コミュニティー活性化に軸足を置いてて。まずここを、市民活動とソーシャルビジネス創出の場にしたい。わかりやすく言えば、コワーキングスペース」
ーーーここ(市民活動センター)を変えていくと。
「イメージとしては六本木ヒルズのコワーキングスペースのような。相当お金かかりそうなので、同じようには無理ですけど(笑)理想としては」
ーーーこんなのが鴻巣にできたらおもしろいですね。
「もっと身近な感じでいうと、大宮のコワーキングスペース『7F』のような。ああいう環境が、無料で使える場所にしたい」
「そこから事業承継のほうへ、コーディネートしていけたらと思っているんです」
ーーー鴻巣って、コワーキングスペースないんでしたっけ?
「ここらへんだと、大宮、上尾、くらいしかないですね。あと、ここで商工会がやってる創業塾もやりたいんですね。ベルーナの社長とか、そういったかたにも来てもらって」
ーーーこの場からいろんなことが生まれそうですね。
「ハードの再開発はすでにやってるけど、僕らはソフトの再開発をやっていきたいという感じですね。来年の3月にはオープンしたいと思っています」
地域活性の課題
ビジネスとボランティア
「あと、『みんなの田舎』っていうのをやっています。市民農園兼コミュニティ施設。民間のかたでやりたいという人がいて、うちは運営事務局とコンサルをやってます」
ーーー具体的にはどんなことを?
「じゃがいもとか、さつまいも掘りをやったり、シニア向けに、悩み相談とか、カラオケ大会やったり」
ーーー世代間交流もできそうですね。農業やってみたいけど、よく分からないし、という若い子とかと。
「ただ、こういうのやる人って、なかなか若い人たちとの折り合いがつかないというか。たいてい、自分の私財切り崩して自費でやっているから、ビジネスというより、ボランティア感覚なので」
ーーーでも本当は、そういうこともビジネス観持ってやったほうが、いろんな人達を迎合する寛容性が出るかもしれないですよね。
「まさに仰る通りで、地域活性とか、街づくりをやろうとする人は、ビジネスよりも自己満足になっちゃうことが多いんですよね」
ーーー確かに多いですね。
「でも、こういうことをしようと考える人たちの意識が大切なので、我々が入ることでいい方向に向かっていきたいなと」
保守的な埼玉県民
ーーー埼玉県が、鴻巣を起点に変わっていくかもしれないですね。
「だからこの場も、市外の人にもたくさん来てもらって、鴻巣のダメなところを言ってもらうような、そういう環境づくりをしたいんですよ。鷺谷さんも(そうだ埼玉TVで)鴻巣回られてるからわかると思うんですけど、保守的なかたもすごく多いので」
ーーーそうですね(笑)鴻巣に限らずですけど。
「なので、鷺谷さんのような核弾頭に来てもらって『お前ら全員ダメだ』とか言ってほしいです(笑)」
本当の再開発とは
自分自身、「鴻巣の夜」シリーズで実際に街を徘徊していて感じることはたくさんありました。
そんな鴻巣をずっと見てきた斉藤さんの言葉は、どれもすっと入ってきました。
再開発は建物だけではない。
その中の人たちの再開発があってはじめて、街が変わっていくのかもしれません。
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埼玉ポーズを作ったクリエイティブ・ディレクター / SNS総フォロワー12万人 / 小説『ブルーハーツを聴かずに親父は死んだ』web連載中