埼玉県屈指の珍スポット「オートレストラン鉄剣タロー」が愛され続ける意外な秘密【閉店】
公式ライター :未衣子
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2020年06月02日
埼玉の名所オートレストラン鉄剣タローが32年の歴史に幕
映画の撮影にも使われた!行田市の珍スポット
妖しいピンクとブルーのネオンが光る店内。
未来的でありながらどこかレトロで懐かしい、まるでサイバーパンク映画の舞台のような空間。
実はこのお店、埼玉にあるんです。
今回は、埼玉県行田市にある有名な珍スポット「オートレストラン鉄剣タロー」をご紹介します。
オートレストラン鉄剣タローとは?
オートレストラン鉄剣タローはその名の通り「オートレストラン」です。(オートレストランの説明はのちほど)
壁にはこんなクールなペイントが施されて、まるで映画の舞台みたい……
と思いきや、実際に映画『TOKYO TRIBE』の撮影で使われたこともあるのだとか。
こんなディープな空間が埼玉にあるなんて、ビックリですね!
昼と夜で表情を変える「オートレストラン鉄剣タロー」の魅力
昼と夜でお店の表情が変わるのも、オートレストラン鉄剣タローの見どころのひとつ。
たとえば、こちらは日中のお店の外観ですが……
夜はこんな感じになります。独特の色合いが窓から透けて、ロマンチック。
カラフルなペイントを施された店内。日中は明るくてがらんとした感じです。
夜だと、もっとワルな感じに!
そういえば未来の埼玉県は、ネットで話題になったサイバーパンク小説『ニンジャスレイヤー』の舞台でもあります。
もしもネオ・サイタマが実在したら、こんな雰囲気なのかもしれません。
そもそも“オートレストラン”とは何なのか?
鉄剣タローの魅力の一部をご紹介したところですが、「そもそもオートレストランとは何なのか?」と疑問に思った方もいらっしゃるでしょう。
オートレストランとは、ひとことで言うと「ドライバーが休憩するところ」です。
鉄剣タローが面している国道17号のような大きな道路には、日夜を問わず長距離運転の車がたくさん走っています。
そんな運転手たちが、24時間いつでも立ち寄って休憩できる場所が、オートレストランなのです。
このように自動販売機がずらりと並んでいるのも、オートレストランならではの光景というわけですね。
なんと、中には珍しいハンバーガーやトーストサンドの自販機もあります!
こちらはうどん・そばと、ハンバーガーの自販機です。
自動販売機から温かい食事が出てくるなんて……! レトロなはずなのに、なぜか新しい感じ。
現在では、コンビニエンスストアを始めとした24時間営業のお店の普及によって、オートレストランの存在は珍しいものになりました。
そのため鉄剣タローのように今なお生き残っているお店はとても貴重で、全国から訪れる人が後を絶たないのです!
レトロゲーム好きにはたまらない!懐かしのゲームセンター
オートレストラン鉄剣タローには、ゲームセンターとしての顔もあります。
店内には、今となってはレトロなゲームがずらりと並んでいて、ファンにはたまりません!
筆者も時々、こちらの麻雀やシューティングゲームで遊びます。
腕前は決して人に見せられるものではありませんが、操作に独特の難しさがあって、ついハマってしまう……
他にも、お店の隅にはUFOキャッチャーがありました。
その名の通り、律儀にもクレーンの部分がUFOになっています。このタイプ、最近はあまり見かけないですよね。
珍しさだけじゃない!愛され続ける本当の理由は…
珍しいオートレストランの生き残りである鉄剣タロー、実はかなりの人気店です。
行田観光のPR活動を行う「忍城おもてなし甲冑隊」がお店を訪れたこともあり、映画の舞台になったこともあり、新聞に掲載されたこともあるのだとか。
そんな鉄剣タローが愛され続ける理由は、決して珍しいからだけではありません。
先ほどから写真に写り込んでいるこのような張り紙にお気づきの方はいらっしゃるでしょうか?
筆者が思う本当の人気の秘密は、この張り紙にあります!
店内の至る所に貼られた手書きのメモを読めば、初めて立ち寄った方でもすみやかに設備の使い方が分かるでしょう。
その内容はとても懇切丁寧で、立ち寄るお客さんへの細やかな配慮が感じ取れます。
そんな無人の接客が功を奏したのか、お店に置いてあるコメントノートはすでに16冊以上。
ページをめくってみると、「いつまでも営業を続けてほしい」という手書きのメッセージが、数えきれないほど寄せられていました。
見えない管理人さんと、見えないお客さんによる、お店を通しての文通。ロマンチックですね!
行田市の珍スポットは見えない誰かの心遣いを感じられる場所だった
珍しいレトロな自動販売機と、懐かしのレトロゲームが揃う、オートレストラン鉄剣タロー。
ただでさえ奇妙で興味をそそられるお店ですが、その人気を支えるのは単なる物珍しさだけではありません。
24時間お店を管理する見えない誰かの心遣いを感じられるからこそ、今でもリピート客が絶えないのでしょう。
まるで、会ったことのない誰かと話しているような気持ちになる、懐かしくて未来的なこの空間には、埼玉のこの地でしか味わえないものがあります。
ちなみにこのお店は、国道17号を東京方面へ向かってドライブしていると、行田~鴻巣のあたりで左手側に見えてきます。
夜にドライブをする時は探してみてくださいね♪
(公共交通機関を使う場合)JR吹上駅から行田市街地方面のバスに約10分乗車。「下忍上分」停留所から徒歩4分。
(自家用車で行く場合)JR行田駅または吹上駅から車で約10分。JR熊谷駅から車で約20分。
宇宙人をドローンで吊った埼玉県行田市のプロモーション映像がすごい
埼玉で文章を書くうさぎ。ゴーストライターとして生計を立てている。好きな埼玉は、鳥居観音、聖天宮、オートレストラン鉄剣タロー、ご当地キャラのカパルなど。鴻巣市在住。