驚愕の仮想ストーリー!55万回突破の久喜市PR動画「クッキーダンス」第二弾についにあの人も登場
公式ライター : Anna79
2016年、久喜市はクッキーダンスという市のPR動画を発表した。
これは自治体PR動画としては異例の55万回再生を記録し、現在では「踊ってみた動画」がNHKアナウンサーから、りそにゃ、私立輝女学園、そして県外からも投稿されている。
久喜北陽高校チア部は市内の子どもたちや高齢者にレッスンを行い、現在では小学生らが運動会で披露するなどしている。
この動画の素晴らしさは以前すでに触れているが、
2016年12月22日
自治体動画史上最多の3058人ダンス!久喜市のクッキーダンスがすごい
この度公開されたクッキーダンス第二弾は、
「久喜市民は毎日、防災無線でクッキーダンスが流れると曲に合わせて踊りだす」
という、仮想ストーリーに基いて作られている。
率直に言おう。
馬鹿げている。
当初、予告編動画を見た筆者はそう思ったが、本編動画を見終わった今はこう思う。
久喜市民は防災無線に合わせて本当に毎日クッキーダンスを踊るべきだ。
なぜならクッキーダンスには、無数の小さな愛を生み出すパワーが秘められているからだ。
私が愛してやまない文豪・太宰治は『思案の敗北』の中でこう語る。
「愛は、この世に存在する。 きっと、ある。見つからぬのは愛の表現である。その作法である」
もし彼が存命中にこの動画を見ていれば、その「作法」としてクッキーダンスを人生に取り入れたかもしれない。
読者諸君が「さすがに言い過ぎだろう」と思うのは百も承知だが、なぜ筆者が太宰を引き合いに出すほどこの動画に感銘を受けたのか、ぜひお伝えしたい。
驚愕の設定を納得させる愛の物語
ノスタルジックな小鳥のさえずりからスタートする今回の動画。
久喜市内の平穏な日常の背景に流れるナレーションは、幼いころに祖母と見ていた日本昔ばなしを彷彿させる味わい深さだ。
しかしそんな音吐朗々ぶりをもってしても、どうしても黙殺できない一言が飛び出す。
「この街では、夕方の防災無線から流れる、久喜市の歌に合わせてダンスを踊る、という、独特の風習が根付き始めていました」
根付くかそんな風習。
こんな設定を持ち出した久喜市に不安を抱える筆者をよそに、動画は淡々と進む。
しかしここで、暗澹たる気持ちを一気に晴らしてくれる女神が現れる。
鶴巻星奈である。
前回、市役所職員として登場した彼女は、今回は町工場で働く女に扮している。
正直、鶴巻が何を作っているのか素人には全くわからない。
しかし彼女の相も変わらない美貌さは健在で、今回はその踊りのキレにも一驚に喫する。
そしてシーンは移り変わり、町の八百屋が映し出される。
店主らしき男が4秒間に3度も「バナナ」と言いながら商品を売り込む姿に、妻らしき女性が文句をつける。
彼女は、「このバナナ野郎が!」と男を罵倒し、喧嘩が始まる。
これが二人のいつもの光景なのかもしれない。
次に現れるのはこの少年。
林純也という俳優で、今回の動画のキーパーソンである。
彼は放課後、友達の誘いを振り切り校門へと一直線に駆け抜ける。
学校を出て一目散に目指したのは、他校のとある女の子だった。
この女子高生役を務めるのは、小林かれん。
筆者はここで脱帽した。
初回から活躍する鶴巻星奈といい、前回あふれんばかりの魅力をふりまいたまなこといい、
久喜市はいったいどれほど美女とつながりがあるのか。
この美女人脈はまるで港区に住む「趣味はサーフィン」なツーブロックで色黒の自称メディアクリエイターばりである。
「今日告白する!」と決意していたであろう男の子の雰囲気に、彼女ほどの美女なら「告白とかされるのかな……」と状況を察したはずだ。
しかしここから、彼女の予想をはるかに超える展開が待っていた。
男の子は告白をすることに夢中になりすぎて、いつも流れる防災無線の時間を忘れてしまっていたのか、クッキーダンスが始まってしまうのだ。
この曲が流れればもうしかたない。久喜市民なら身体が勝手に動き出す。
そしてそのまま尻を振り踊り始める。このあとの小林の表情には、ぜひ動画のほうで全視聴者に注目してほしい。
いかなるキテレツな告白であっても乗り越えられるであろう彼女の眉もさすがに歪みはじめる。
そして林が言い訳を始める。
「これはクッキーダンスっていって、久喜市で曲が流れると、勝手に踊っているだけだから……」
だからなんだというのか。
そしてこの後、まるで彼の告白を市内全体が応援するかのように、久喜市民たちのダンスが続く。
商店街でも
駅前でも
喧嘩していた八百屋夫婦も
工場も、とにかく街全体が自由時間になったかのようにクッキーダンスに包まれていく。
そして迎える衝撃のラストは自身の目で確認してほしいが、見た人はスマホを壁に投げつけようとしたかもしれない。
しかし、待ってほしい。
筆者は、この動画から溢れ出す愛に気付かされたのだ。
クッキーダンスは久喜市民一人一人に愛をもたらした
教室で踊る高校生たちは、久喜市くき親善大使でもあり、クッキーダンス伝道師の久喜北陽高校チア部のため見事なダンスだが、
それ以外の人たちのダンスは決して上手ではない。
しかしこれが、「久喜市では市民が防災無線に合わせて踊りだす」という無理のある設定に、妙なリアルさを与えている。
「全員じゃないにしても本当に久喜市民って毎日踊ってるのかな」と、この動画の出来事が一瞬ノンフィクションであるかのように錯覚させるのだ。
ちなみにこの動画の冒頭で流れているチャイムに関しては、実際に久喜市内で流れているものなのだそうである。
そして、男子高校生が告白する勇気を振り絞れたのも、八百屋の二人が心置きなく口論できたのも、「この時間に、クッキーダンス踊るし」という前提があったからではないだろうか。
もし自分が奥手な17歳男子だったら、ただ道で見かけるだけの美女に告白する勇気を出せただろうか。
直前で怖じ気づく可能性は十二分にある。
そして年頃の男子にとって「好きな子の前で踊る」というのはさらに照れを感じる行為だろう。
しかし彼は「クッキーダンスを披露する」ことでより大きな照れをクリアし、「告白」に伴う緊張感を無効化したのではないだろうか。
クッキーダンスという足掛かりがあったからこそ、告白することができたと言い換えられる。
クッキーダンスはここに、一つの小さな愛を生み出したのだ。
八百屋の件も然りである。
この二人には「この後クッキーダンスを踊るから、そこで仲直りできるよね」という共通認識があるから、日頃から言い争えるのではないか。
※二人はお笑い芸人の「さくらプリン」
きっと、この動画の世界では、こうした愛が無数に生まれている。
鶴巻の働く工場員たちも、カフェの前の女子たちも、このクッキーダンスがもたらす何らかの愛の恩恵にあずかっているはずだ。
この動画は「所詮フィクション」なのか?
この動画はフィクションだが、この高校生たちや八百屋の愛の物語は、現実には絶対に起り得ない事象だろうか。
そんなことはない、と筆者は信じる。
林のように曲に合わせて告白する強者はいないかもしれないが、八百屋の二人のように「喧嘩中の男女がクッキーダンスを踊ったら、なんだか笑えてきて険悪なムードが和らいだ」というシチュエーションくらいならたやすく想像できる。
その他にもまた違った状況において、クッキーダンスが小さな愛を生み出す可能性はあるだろう。
太宰は、愛の表現方法、作法がわからないと言った。
彼は、いや、我々は、愛というものを崇高に考えすぎているのかもしれない。
ダンスという、一見俗世的である行為も、一種の愛を伝える方法に十分なりえるのではないか。
久喜市民にはぜひクッキーダンスでそれを実証してほしい。
そこに生まれるのは笑顔や温かさ、そして愛に違いないはずだから。
愛の国の使者が伝えるクッキーダンス
筆者は、久喜市と、制作陣に手放しで称賛を送りたい。
考えてもみてほしい。
「防災無線のチャイムが流れると、市民みんなが踊っちゃうってストーリー、面白くない?」と提案された市役所職員の心情を。
筆者の心の中にある真面目でお堅い市役所職員像では、「検討します」と答えその企画書を間違いなくゴミ箱に捨てる。
しかし久喜市はこの脚本を採用したのだ。
「これでいこう」と決めたのは久喜市である。さすが、前回動画で3,058人の市民を踊らせただけのことはある。
最後に一つ、「クッキーダンスと愛」についてお届けしたい情報がある。
動画で流れる非常に渋いナレーション、これは実は、久喜市くき親善大使であり、クッキーダンスの原曲者であるタケカワユキヒデによるものなのだ。
※クッキーダンスverは人気トラックメーカー
yunomiがアレンジ
くしくも、『ガンダーラ』の作曲者である。
愛の国を歌った曲の作り手が、この動画のナレーションを担当する。
筆者はここに、人知を超えた何者かの意図を感じずにはいられない。
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東京で生まれ、一瞬神奈川に住み、千葉で育ち、現在埼玉に住んでいます。グルメ情報やイベント、美容に関する、埼玉ならではの記事を皆さんにお届けします!埼玉県草加市在住