災害ボランティアに行く前に必ずやらなければいけない3つのこと
そうだ埼玉.com公式ライター:宮本ノウル
熊本市で災害ボランティアセンターが開設
当初は震災直後の混乱増長を避けるため、また人命救助を最優先としたため、災害ボランティアの受入れを始めていなかったが、本日22日より、熊本市で「熊本市災害ボランティアセンター」が開設する。
すぐにでも駆けつけたい人もいる。GWの休暇期間を利用してボランティア活動をしようと思っている人もいる。
災害の現場では、一人でも多くの人手が欲しいであろうし、特に日常を一日も早く取り戻すための初期の復興事業において、ボランティア活動の有効性は既に実証済みである。
本記事では、筆者が5年前の東日本大震災から5年間、被災地で行った災害ボランティア活動の経験と教訓を踏まえ、今回の熊本での災害ボランティア受入れ状況と、災害ボランティア活動を行うにあたっての注意点を記す。
災害ボランティア受入状況について
熊本県での災害ボランティア受入れ状況は以下の通り。
■熊本市災害ボランティアセンター
開 設 日:平成28年4月22日(金)
設置場所:「(仮称)花畑広場」(熊本市中央区花畑町7番10号)
開設時間:9時~16時
集合方法:上記広場に開設するセンターに集合後、公共交通機関を
利用して活動場所に向かい活動します。
活動内容:家屋の掃除や片づけ支援
募集範囲:県内・県外問わず募集
※天候・余震等の影響により、一時的に活動を中止することがあります。
■益城町災害ボランティアセンター
開 設 日:平成28年4月21日(木)
設置場所:(株)井関熊本製造所グラウンド(上益城郡益城町安永1400)
活動内容:避難所支援、物資仕訳
募集人数:200名程度(避難所支援・物資の仕分けが当面の活動となります)
上記のほか、災害ボランティアを募集している市町村もあるが、当面は自宅から通える人に限定していたり、同地区居住者に限っていたりするので、当面は熊本市か益城町での活動になるであろうし、県外からのボランティア希望者は「熊本市ボランティアセンター」に登録するのが良いと思われる。
災害ボランティアに行く前に
災害ボランティア活動を行う、「さあ、行くぞ!」ではいけない。
少しでも早く現場に入り役に立ちたいという気持ちは大事ではあるが、「気持ち」や「スピード」を優先すると逆に被災地に迷惑をかけたり、自分自身が危険な目に遭うこともある。
大事なのは「準備」である。
そこで、災害ボランティアに駆けつける前に、必ずやらなければいけないこと。
①情報収集
②装備の準備
③保険
この3つである。
①の「情報収集」については、そもそも災害ボランティアセンターの受入れ状況はもちろん、現地の災害の状況や交通インフラの状況、また気候や天候についても事細かに情報を収集しなければいけない。
災害時においては、様々な情報が飛び交っている。
例えば「局地的な被害」が「全体的な被害」かのように報道されていたり、逆に深刻な状況にあるにも関わらず余り情報が届いていない場合もある。
テレビやインターネットサイトなど、情報のソースは多種多様ななか、正確な情報はどこから手に入れるのか。
まずは、地域の「社会福祉協議会」や「災害ボランティアセンター」が発信する情報に目を凝らし耳を傾けよう。
災害ボランティアの活動は、すべてここが司っている。
情報は常に更新されているので、マメに確認してほしい。
②の「装備の準備」、これが一番大切である。
基本的な装備は、長袖、長ズボン、タオル、帽子、ゴーグル、マスク(防塵)、長靴、手袋(革製)、ビニール製のサンダル、雨具(上下別のレインコート)、名札(ボランティアセンターによっては現地でテープにマジックで名前を書き、それを服に貼る場合もある)はしっかりと揃えたい。
前述の装備がなければ、身の安全を担保出来ないため、ボランティアとして受入れてくれない場合もある。
長期に渡って災害ボランティア活動をやっているセンターには、長靴や手袋等が置いてある場合もあるが、活動初期は揃っていない場合もある。
現地に迷惑を掛けないためにもしっかりと確認準備してもらいたい。
③の「保険」については、熊本市の社会福祉協議会のHPの文章を引用する。
ボランティア活動保険のお願い
熊本県及び大分県では今後、災害ボランティアセンターによる活動が始まります。ボランティア活動に参加される方は、事前に地元または出発地にて保険加入手続きを済ませてから、被災地へ向かわれますよう、お願いします。また、現在も余震が続いていることから、ボランティア活動中に怪我や二次災害に巻き込まれる可能性もあります。そのため、必ず天災タイプの保険へご加入ください。
この「保険」も災害ボランティア活動をするにあたっては必須。
面倒だからと端折ると、あとで取り返しがつかなくなる場合もある。しっかりと加入しておきたい。
災害ボランティア活動をする際の心構え
災害ボランティアをするにあたっての注意点はネット上にも色々と書かれている。また災害ボランティアの経験者の報告書やブログを見ても、しっかりと注意点が書かれている。
はじめて災害ボランティアに行かれる人は、まずはこのようなものにちゃんと目を通してほしい。
その上で本記事では、その根本である2点にだけ言及する。
それは「自己完結」と「相手の気持ちになって考える」の二つ。
「自己完結」。災害ボランティアは自己完結でなくてはならない。現地までの交通費はもちろん、宿泊は食事や飲み物にいたるまで、すべてボランティア活動をする本人が解決するのが原則である。
その他、お風呂やシャワーもそう。すべては手弁当、持ち出しでなくてはならない。
もちろん、現地で購入しての調達は積極的に行うべき。宿泊施設が営業しているならば、そこに泊まるのがベスト。被災地でお金を使えば、それは復興に直結する。
そういう活動も含めての「災害ボランティア」である。
また、絶対に自身の安全と健康を確保しないといけない。それもやっぱり、被災地に迷惑を掛けないという「自己完結」の原則に繋がる。
休憩を小まめにとる。水分をしっかり取る。決して無理をしない。頑張ることと同じくらい、休むこともまたボランティア活動である。
もう一つは「相手の気持ちになって考える」。
常にこの心構えは意識すべきである。そしてこれが、災害ボランティア活動において、一番大事なことである。
例えば、被災地の被害状況や被災者の方々を写真に撮る。相手の気持ちになって考えたとき、それは決して気持ちいいものではない。
災害現場でピースをしながら写真を撮る。これもそう。もちろん、記録として、また報告のため、はたまたより多くの方々をボランティア活動に呼びかけるため、写真を撮らなくてはいけない場合もある。
撮ってはダメな訳ではない。配慮をすべきである。
例えば、散らかった家財道具の整理のボランティア活動をしたとする。床にガラスが散らばっているかも知れない。だから靴を脱ぐと危険である。だから土足で家に上がる。その家に住んでいる人がその光景を見たらどう思うだろうか。中には助けてもらっているので言わないが、気を悪くされる人もいるのではないか。
だったら、ビニール製のサンダルを、別に手に持っていけばいい。屋内用のサンダル。そんな配慮が、被災した方々に喜ばれるはず。
例えば、災害ボランティアセンターに登録しても、活動が無い、もしくは長く待たされる場合もある。せっかく来たのに何も出来ない。そんな場合もある。待つのもボランティア活動。
何百人ものボランティアと被災地のニーズをマッチングさせるのもたいへんなのだ。
多くの場合、ボランティアセンターのスタッフもボランティアなのである。いわば、仲間。同じ想いを持つ仲間。そう思えば、待つのも苦ではない。
人の心は、マニュアルではない。
同じ行動でも、良く思う人もいれば、そうでない場合もある。
世間一般でいう常識を逸脱するのは論外であるが、それ以外にも、ボランティアの現場では様々なシチュエーションに遭遇する。
最後は、ボランティア活動を行う人の「人間力」である。相手の気持ちになって考える。
何かあれば、その「スタート地点」に立ち返る。それだけは忘れないでほしい。
下記は、読売新聞に掲載された「ボランティアをする際の10か条」。
東日本大震災もそうであるが、被災地の復興は一年や二年で成し得るものではない。長期に渡る支援が必要である。支援には様々な形がある。大事なことは、長く続けること。そして、忘れないこと。無関心にならないこと。
本記事の最後に、Twitterで話題になっている一枚を。
【熊本地震支援】今、被災地に物資を届けるにはどの方法が良いか考えてみた
そうだ埼玉.com公式ライター : 宮本ノウル
某グルメサイトの大宮地区1位の経歴を活かし、埼玉のB級グルメ情報、お役立ち情報を中心に執筆する、不惑の会社員。
埼玉県さいたま市在住
この記事が気に入ったらいいね!しよう
そうだ埼玉.comの最新情報をお届けします。
某グルメサイトの大宮地区1位の経歴を活かし、埼玉のB級グルメ情報、お役立ち情報を中心に執筆する、不惑の会社員。さいたま市在住。