埼玉県が民泊文化を促進すべき3つの理由
公式ライター : Anna79
日本にも民泊文化が浸透中
旅行好きや出張族の間で、最近ひしひしと感じていること。それが、「宿の予約が取れない!」ということ。
特に東京や大阪といった都市部では、かなり前から予約をしていないとハイクラスホテルか格安ゲストハウスといった両極端な選択肢しか残されていない状況になりやすい。
それもそのはず、今や年間訪日外国人の観光客数が2800万人を超える時代なんです。
出典 : 日本政府観光局
そこで利用したいのが民泊。
民泊とは、民間人が自宅やアパートの一室などを貸し出す宿泊形態で、2017年の7~9月では、訪日外国人の12.4%が利用しています。
もともとアメリカで始まった民泊ですが、現在は日本人利用者も増えており、世界最大手の民泊予約サイト「Airbnb」利用者の2割は日本人。主に若い世代や、出張が多いサラリーマンの登録も多いのだとか。
埼玉県の民泊状況
2016年時点でAirbnbに掲載されている埼玉の物件数は260軒で、国内の軒数ランキングでいうと12位。
日本で12位というと「埼玉も民泊やってるところ結構あるんだなー」と思えますが意外とそうでもありません。
というのも、Airbnbに掲載されている国内の物件は3万件以上で、全体の約4割を東京、3割を大阪、1割を京都が占めており、残りの2割を44都府県で埋めているというのが現状なんです。
つまり埼玉県の民泊文化はまだまだなのですが、もしかしたら埼玉こそ民泊を促進すべきなのでは、と私は思います。
その理由を3つ挙げてみたいと思います。
①「宿は寝に帰るだけ層」と埼玉はマッチングする
旅行における宿泊施設に求めるものは人それぞれですが、「宿を心ゆくまで堪能したい」人もいれば、「観光ありきで宿は寝に帰るだけ」という人もいます。
前者の場合は埼玉民泊とマッチングしにくいでしょう。
我々埼玉が狙うべきは後者の層です。
自分もこのタイプなのでよくわかりますが、「観光ありきで宿は寝に帰るだけ」という層が求めているのは手ごろな宿泊価格と、観光スポットへのアクセス。
あとは清潔なお風呂と横になれるベッドがあればいい。サービスでミネラルウォーターでもあれば万々歳。
アクセスについては、「乗り換えが少ない」というのは大きなポイントなのではと感じます。
個人的感覚ですが、言語がわからない国に行くなら、20分で3回乗り換えるより、40分で乗り換えなしの方が心理的負担が少ないんですよね。
その点を考えると、例えば草加なら銀座も秋葉原も日比谷線直通東武スカイツリーラインに乗れば乗り換えなし。
所沢から池袋も西武池袋線急行で30分もかからないし、大宮から渋谷も湘南新宿ライン特別快速に乗ればあっという間。
とは言え5分、10分で着くわけではないので「ちょっと時間かかるな」感は否めませんが、都内よりも安い宿泊料と考えると、埼玉に泊まるのをアリとする観光客は少なくない気がします。
実際にAirLABOというAirbnbの情報を集めたサイトによると、都内の宿泊料金平均は9,366円で、埼玉は5,680円と2倍近い価格差があります。東京より、安くて広い、埼玉県。
また、今日は東京、明日は神奈川、明々後日はディズニー(千葉)で、最後は疲れたら埼玉でのんびり、など、リアル埼玉県民のような活用もいいのではと思います。
②法改正で民泊が始めやすくなる
なぜ、私がこのタイミングこんなことを言い出したのか。そこには三つの法改正が背景にあります。
住宅宿泊事業法(民泊新法)
その一つが、住宅宿泊事業法。いわゆる民泊新法ですね。
2018年6月15日に施行されるこの法律をざっくり説明すると……。
今まで民泊を行うには、特区民泊を利用するか、旅館業法に則って簡易宿所として許可取得するかの二択しかありませんでした。
(実際はこうした面をクリアしない闇民泊が山ほどありましたが……)
特区は場所が限られているし、旅館業法はベッドの数だの面積の広さだのややこしい制限があって、民泊を始めるのが面倒だったんです。
しかし新法施行後は、きちんと申請さえすれば、アパートやマンションを利用した民泊が正式に認められるようになります。
旅館業法
二つ目の法律が、旅館業法の改正。
この改正法は2018年1月に公布され、今まで「フロントがないとダメ」などと制限されていた点などが緩和され、これにより旅館業法に基づく民泊運営のハードルが下がっています。
この二つの法改正によって、「民泊を始める」ことが容易になりました。
もちろんこれは埼玉に限らず全国も同様ですが。
通訳案内士法
三つ目の法律が、通訳案内士法。
これまで有料での観光ガイドは通訳案内士の資格保持者のみに限られていましたが、この法改正により、資格を保有していない人でもできるようになりました。
関東4都県に住んだ私の感想としては、埼玉にも観光地は多くありますが、「横浜の中華街!」「舞浜のディズニーランド!」といったようなことよりも、「派手さはないけど、いいんだよね」という、地元の人に愛されるスポットの方が埼玉県は多いんじゃないかなという気がしています。
だからこそ、地元の人が実際に案内できるようになるこの法律の改正は、埼玉の観光を盛り上げる一因になるのではと思うんです。
民泊に泊まりに来る人の中には、その国の文化を体験したいという人も大勢います。
そうした方が日本に来ると古民家に宿泊し、地元の観光地に行ったり郷土料理を食べたりするわけです。
そこにセットで案内士もつけて、まるっとその土地の文化体験ができるようになったら魅力的だし、埼玉は特にそういうことをやってみる価値があるのではと思います。
③上乗せ条例が増える機運が薄い
実は、せっかく国の法律では民泊を始めやすい状況を作っているのに、都内では各区ごとに上乗せ条例というものを制定し、緩和された規制をまた厳しくする動きが強いんです。
たとえば大田区では、
- 住居専用地域などでの民泊運営の禁止
- 民泊営業可能日数の制限
- 近隣住民への事前通告義務
こうした内容を盛り込んだ大田区宿泊事業法施行条例が可決されています。これは全国初の上乗せ条例制定だったこともあり、大きなニュースとして民泊業界を駆け巡りました。
台東区などでもこうした上乗せ条例が可決され、他多くの区で類似の条例が検討されています。
一方で埼玉の状況を見てみると、実際に制定された上乗せ条例はまだありません。また、現在こうした条例を検討しているという報道も見受けられません。
だからといって一概に「埼玉の行政は民泊を歓迎している!」とは言えません、単純に都内に比べて民泊物件が少ないため、危機感をまだ持っていないだけかもしれません。
しかし上田埼玉知事は平成28年2月定例会 代表質問において、民泊に関して「経済効果と安全確保のバランスをとったルール作りが必要である」という前提で、「県では、今後予定される旅館業法の改正と整合を図りながら、関連する条例等を改正する方向で検討しなければならないと思っております」との発言をしています。
国が進める規制緩和の流れと整合をとっていくのであれば、それほど厳しい規制はしないのかもしれませんね。
民泊を利用してハネて埼玉
民泊に関しては騒音トラブルやごみ出しルールなど、まだまだクリアしなければならない課題も多くあります。それに、自治体ごとに条例を出して、民泊の門戸が狭まっている場所もあるんです。
しかしそれを加味しても埼玉は今から民泊に本腰を入れるのに適した土地ではないかと思います。
民泊で翔んで……いや、ハネて!埼玉!
私もライターとして、面白い民泊物件や埼玉の観光についてこれからご紹介できたらと考えています!
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東京で生まれ、一瞬神奈川に住み、千葉で育ち、現在埼玉に住んでいます。グルメ情報やイベント、美容に関する、埼玉ならではの記事を皆さんにお届けします!埼玉県草加市在住