埼玉県にご当地アイドルがいない理由【そうだ埼玉メルマガ】
「埼玉大好き」という人を信用しない埼玉県民
新潟県が大好きな新潟県民は、新潟県を今以上によく知り、今以上に新潟を発信する。
そして新潟の良い所を語り、新潟愛を語り、新潟への誘致を図る。
郷土愛とは、この「新潟」という文字をどこの都道府県名に置き換えても成立します。
ただし一つだけ成立しない県があります。
それが埼玉県です。
以前このメルマガでも触れた、埼玉県にご当地アイドルが少ない理由、それは、埼玉で活動するよりも東京に行ってしまった方が活動の場がたくさんあるからで、つまり、アイドルが活躍できるインフラが埼玉県にはないから、といった主旨の話をしました。
もう一つは、埼玉県民の独自の郷土愛にあります。
ご当地アイドルならそのご当地を愛して当たり前で、そこで根ざした活動から始まります。
例えば新潟ご当地アイドルなら「新潟大好きです!」といった言葉が終始出てくる、いや、出てこないといけないわけですが、埼玉でそれをやっても埼玉県民にはあんまり響かないんです。
埼玉県民はダサイタマと言われれば反発したり笑ったり何かしら反応しますが、逆に「埼玉大好きー!」という奴を見ると無言で避ける傾向があります。
ここがおそらく他県の人や年配の方には理解できない、埼玉県民独自の特性なんです。
それと同時に、このポイントこそが他県にはない埼玉県の圧倒的な個性であり、埼玉県がメディアに頻繁に登場する一番の要因です。
埼玉県のご当地アイドルが成功できない理由
「好き」と言葉にして言うことが埼玉県民の郷土愛ではないので、それを全面に押し出してる奴を見ると嘘くさく感じてしまい、うざったくなり恥ずかしくなり、最終的には避けてしまう。
九州や関西、最近では北海道の大泉洋さんなど、その土地で地道に力をつけ有名になっていったタレントやミュージシャンはたくさんいますが、埼玉でそうやって成功していった人はあまりいません。
有名になったあとで「私は地元埼玉が大好きです!」と、どっかの親善大使や観光大使になる人はいても、テレビ埼玉やNACK5から地道に活動を始めて有名になっていく人はいないんです。
それは、その人に実力がないからではなく、ホームである埼玉県民にまず受け入れられないからなんです。
なぜなら、埼玉大好きと連日のたまっているから。
そんなバカなと思うかもしれませんが、実際この県では、「埼玉県民には草でも食わせておけ!」の、「翔んで埼玉」が50万部ヒットし、「なにこれダサい!」と話題になって安室奈美恵さんからAKBまで披露する「埼玉ポーズ」が生まれた「そうだ埼玉」は、好きという言葉が一度も出てこない、埼玉の歌。
例えば、たいして知りもしない男性から「かわいいね」「デートしよう」「好きだよ」と連日言い寄られたら気持ち悪いですよね。
だったら素っ気ないくらいの男性の方が気を引かれる。
ツンデレでもヤンデレでもなく、自分に自信があまりないということもあって、誰かに言い寄られても嘘のような気がしてしまう。
埼玉県は、埼玉県に一切関心がない東京が好きなんです。来るな、と言われても行っちゃう。
もし東京が、「埼玉ちゃん大好きよ、東京においで」と言われたら、何か罠があるんじゃないかと思ってしまう。
これが埼玉県民のかなしくもあり、愛くるしい県民性なんです。
本当の埼玉愛とは
私に言わせれば埼玉愛なんて、埼玉県に住んでいるということで十分。
それが最上級の埼玉愛だし、それ以上もそれ以下もありません。
この町に生まれた、育った、住んでいた、過去形でも構わない。
とにかく埼玉県で生活をしていたことこそが、最上級の埼玉愛であって、それ以上の何かを語る時点で本来もう野暮なんです。
なのでそこを踏まえた上で埼玉ご当地アイドルを作ればもしかすると成功する可能はありますが、ご当地アイドル=その土地が好き=好きをアピールなんていう当たり前の方程式で考えていくとこの土地ではうまくいきません。
かと言って、「埼玉嫌い!ダサイタマ!ダサイタマ!」と露骨に連呼されれば、何だとこのやろう、となります。
好きという愛を表現すればいいわけではないし、なんでもかんでもディスればいいというわけでもありません。
この埼玉県民の特殊な埼玉愛は、県民、つまり中の人はあまり自覚がありませんが、他県から見るととっても特殊なんです。
埼玉県でなにかやる時は、その県民性を咀嚼したうえでやってみると、いつもと違う結果が得られるはずです。
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埼玉ポーズを作ったクリエイティブ・ディレクター / SNS総フォロワー12万人 / 小説『ブルーハーツを聴かずに親父は死んだ』web連載中