成功するのは「金」「人の手」「アイデア」のどれかが突出したもの【そうだ埼玉メルマガ】
4Kカメラで撮ってもつまらないものはつまらない
約10年前、知り合いの若い音楽トラックメーカーが、「近い将来、音楽は小学生がクリック一つで作れる世の中になる」と言っていました。
確かに今、楽譜が読めなくても、バンドメンバーやボーカリストがいなくても、さらにスタジオに入らずとも音楽が作れる時代です。
また、それを行うにあたって高い機材も必要なく、誰でも習得できる技術レベルでプロ音源と同等、またはそれ以上のものを作ることが可能です。
小学生がワンクリックでとまではいかないものの、今、時代は限りになくそこに近づいてきています。
これは、映像の世界でも同じで、編集関連のソフトや機材も手に入れやすい価格帯になり、簡単な作業で高度な編集が可能になってきています。
ネット環境の向上や、PCやスマホの高スペック化、そしてYouTubeなどの影響もあり、現代では誰もが映像を使ったプロモーションを考える時代になりました。
そうすると、キレイな画質で、プロっぽいCGを入れて、など、誰もが技術に傾倒しがちですが、人の心が動くのは、プロっぽい映像ではなく、面白い映像です。
4Kカメラで撮ってもつまらないものはつまらないし、ハンディカメラで撮ったものでも面白いものは面白い。
それは、どれだけ技術が進化しても同じです。
有名人を起用してもうまくいかない理由
これは、映像プロモーションだけでなく、他のプロモーションでも同じことが言えます。
当然、予算はあるに越したことはなく、有名人を起用すればそれだけである程度の効果が見込めますし、人員から場所からあらゆる選択肢も増え、規模感やスケール感を出すことが可能です。
ここで少し話がそれますが、有名人の起用に関して、間違えてはいけないのは人選です。
名前がある人を起用すれば何とかなると思ってる人が非常に多いですが、有名な人を起用さえすれば話題になるとは限りません。
地域プロモーションにおいても、例えば
「茨城県のプロモーション映像に渡辺直美が出てるんだって」
「高知県のプロモーション映像に広末涼子が出てるんだって」
と言われて見ようと思うのはよっぽどのファンだけ。
渡辺直美や広末涼子クラスの知名度の人を起用しても、実際は、さほど思ってるほどの効果は得られないんです。
ただしこれが、
「渡辺直美がビヨンセの曲に合わせて茨城県のPRのために踊りまくってて、すごい面白いんだよ」
「広末涼子が高知県のPR映像の中で、久しぶりに水着になってるんだって。30過ぎてもすごいキレイなんだって」
と言われて初めて、一般人も見てみようかな、となるんです。
有名人さえ起用すれば、というのは幻想で、誰をどのように使うかが一番大事なんです。
つまり裏を返せば、無名のタレントでも使い方によっては想像以上の効果を得れますし、有名タレントに高い金払って呼んで、終始気を使いまくって、結果何にもならなかった、なんてことはザラにあります。
有名人さえ起用すればという幻想に惑わされると、取り返しのつかない痛手を負うことになるので注意が必要です。
アイデアはお金を凌駕する
話を戻して、まず「お金」、予算は先述した通り大いに越したことはなく、スケジュール調整や人員手配などあらゆる采配において、また、スタッフのモチベーションにおいても、円滑に進む確率は高くなりますし、予算を絞ればその分誰かが地獄を見る確率が高くなります。
そして大事なのは「人の手」と「アイデア」。
先述したように、今後、映像は誰もが簡単にキレイに撮れる時代になっていきます。
だからこそ、大事になっていくのはこの2点。
人の手がかかっているものは、簡単に模倣することはできません。
予算は、その都度状況や事情があることで、また、企業の大小によりかけられる予算も比例するのは当然のことですが、人の手と、アイデアという点においては、企業の大小や資本力も何も関係ありません。
作り手、送り手側がどれだけ熱意を持って取り組んだか、そして、それはどういった企画内容なのか。
大事なのは、これまでもこれからも、全てここにあります。
「そうだ埼玉」を撮影したカメラは、市販の家庭用のハンディカメラでした。
6秒間のVine動画で世界を引っくり返す人もいます。
一方で、何千万、何億をかけて、あり得ないくらいつまらないものを作る人もいます。
大事なのは人の手と、アイデア。
そしてそれを、しつこいくらい続けること。
近道はありません。
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埼玉ポーズを作ったクリエイティブ・ディレクター / SNS総フォロワー12万人 / 小説『ブルーハーツを聴かずに親父は死んだ』web連載中