地域プロモーションや町おこしをする人達の大きな間違い【そうだ埼玉メルマガ】
地域プロモーションをする人達の大きな間違い
埼玉県愛がある人が、「自分の生まれ育った県や市、地域の魅力をもっと知ってもらおう!」と思った時、必ず間違える認識があります。
自分が埼玉県愛がある人だから、そこに関わってこない人たちを、「埼玉県愛がない人達」とカテゴライズしてしまいがちですが、これは大きな間違いです。
「埼玉県愛がない人達」「地元意識が低い人達」「郷土愛が薄い人達」と一括りにしてはいけません。
正解は、「その他大勢」です。
その他大勢は、もはや群馬県民、東京都民、大袈裟に言えば鳥取県民だと思ってもいい。
特別「埼玉県」というものに何の意識もしていないんです。
「俺小学校6年生の時に4組だった」、というこの「4組」と同じで
ただ自分の戸籍が埼玉なだけ。
生まれたのは埼玉県、住んでるのは埼玉県、という事実認識がただあるだけです。
そんなことより彼らは、
どうやったら女の子にモテるか
バイトなにするか
あの子に送ったLINEが既読にならない
このエロサイトがすごい
ももクロチケット取れない
彼氏ほしい
今度の合コン何着て行こう
パズドラ極めたい
っていうかあの子最近嫌い
あそこのネイルサロン安い
面白いLINEスタンプ見つけた
米倉涼子さまかっこいい
西島秀俊、向井理結婚ショックでもう生きていけない
といった日常を生きてるわけで、そんな人達に、「埼玉県ってさ!さつまいもがおいしんだよ!」と言っても会話が成立しません。
つまり、「埼玉県愛がある人」と「ない人」と2極化はせずに、下記のように捉えないといけません。
埼玉県愛がある人と、パズドラ中毒者
埼玉県愛がある人と、ももクロファン
埼玉県愛がある人と、彼氏ほしい子
埼玉県愛がある人と、クリスマス一人で寂しい子
埼玉県愛がある人と、ドクターX見てる人
埼玉県愛がある人と、踊ってみたやってる人
埼玉県愛がある人と、ニコ生主
埼玉県愛がある人と、バンドやってる人
埼玉県愛がある人と、合コン行く人
と、永遠に続きます。
埼玉は京都や沖縄とは違うという当然
しかし、京都や沖縄のような県の特色がはっきりしてるようなところだと、地元の中で「京都愛がある人」と「京都愛がない人」で、2極化して語れるところはあります。
なので、京都愛がある人と、京都愛がない人の議論は成立すると思います。
しかし埼玉県の場合は違います。
何か理由があって、考えがあって、こだわりがあって埼玉県に興味を持たないわけではないんです。
最初から埼玉県のことを考えるという回路がないんです。
そんなことよりももクロやパズドラやあの子が好きな男のことや、今度の合コンで着ていく服の事の方が大問題なんです。
だから、「なんで埼玉県民なのに、埼玉に関心を持たないんだ!」という発想が大きな間違いであって、埼玉県愛がある人とない人の議論や会話は成立しません。
埼玉県の良い所を考える思考回路ではダメ
埼玉県愛がある人と、その他大勢の人は、これまでずっと相容れませんでした。
埼玉県愛がある人は、埼玉県愛がある人同士で固まってしまい、その他大勢の人達は、固まるどころか最初から分散している雲のようなものなので、その人達と向き合うことは出来ないんです。
例えばテレビというのは、そういった雲のような不特定多数の人達を、いかに引きつけるかという世界です。広告も同じ。
ここでいう引きつけの総称を、世の中では「エンターテインメント」と呼びます。
我々、特に私は、音楽業界を中心に、このエンターテインメント産業で10年間生きてきました。
埼玉県の良さを知ってもらおうと思った時に、埼玉県のいいところを考えるという発想ではもうアウト。
どうすれば人が楽しむか、から入らないとダメなんです。
テレビの世界も、例えばコカ・コーラが番組スポンサーだったとした場合、番組内容も、いかにコカ・コーラがおいしいかという内容になるかと言えばそうではありません。
コカ・コーラにしたら、いかにコカ・コーラがおいしいかという番組にしてくれるのは嬉しいことですが、その番組内容だとつまらなくて誰も見なくなるため、結果、広告主としてのメリットがなくなってしまうわけです。
だからまずは多くの人を引きつけられる番組内容であることが最優先で、その上でその合間に数十秒のCMでコカ・コーラの魅力を伝えるという関係性で成立しています。
町おこしでも工夫が必要
例えば会社で新商品を作ったとします。
この商品を知って欲しいと思った時に、チラシを作って街頭で配り商品説明をしようと思ったとします。
ただ自分に置き換えてみても、急いでる時に街頭で、「すいません、ちょっとこれを見て欲しいんですけど」と言われたら、「いや、今ちょっと…」となりますよね。
そこでティッシュ配りが生まれました。
そのものに興味はないけど、ティッシュはある分には困らないからもらっておくか、と受け取ってもらいやすい。そのティッシュにはその新商品の紹介がされいるわけです。
さらに、配る子がかわいい女性なら受け取ってくれる率も高いかもしれない。
男性はかわいい女性に弱いですが、女性だって怖いおじさんよりも同性の人の方が親しみやすい。
また、そもそも配るのではなく、街頭のイルミネーションを見てもらう分には急いでいようと、怖いおじさんが嫌いだろうと誰もが気分良く見てくれます。
そのイルミネーションをよく見ると、新商品の広告になっていたらどうでしょうか。
誰もが自然にその新商品を知ることになります。
ただチラシを配るのとでは、随分違いがあるのが分かると思います。
言葉を変えるだけでも、伝わり方は激変する
チラシに記載する内容にしても、メインで伝えられる言葉は一言です。つまり、(キャッチ)コピー。
この新商品が仮に、肩こりや腰痛に効く商品だったとします。
その時に、「肩こりや腰痛が治る!」と書かれていても、人はみんなスルーします。
そんな言葉はみんなどこでも目にしてきているから。
「腰が嘘みたいに軽くなった!」
言葉を捻ってるようで、こんな言葉も見慣れています。
「巣鴨の60~70代のおじいちゃん100人が大絶賛!」
となれば、どんなんだろう?と少しは興味を引くかもしれません。
「85歳のじいちゃんが、ホノルルマラソン完走した」
と書かれていたら、「えっ!?」と人は引きつけられます。
「肩こりや腰痛が治る!」という言葉を、「85歳のじいちゃんが、ホノルルマラソン完走した」に変えるだけで、その商品に引きつけられる人数は相当変わってきます。
プロモーションは、説明書を配ってはいけない
言葉だけでなく、写真やイラストを使ってより効果的に訴求する方法もあります。
東京ドームスパラクーアという、東京ドームに隣接したそのスパは、お風呂があり、マッサージがあり、エステがあり、の女性向けのオシャレな空間です。
みなさんならここの魅力をどう伝えるでしょうか。
「都内の真ん中で満喫するリゾート気分」
「都会にいることも忘れる贅沢な空間」
とか、たいていはそういった言葉でこのお店の良さを伝えようと考えるわけですが、秀逸だったのは、女性が笑顔で気持ちよさそうにここのお風呂に浸かっている写真に文字で一言「アタシが部長に耐えられるワケ。」というコピーのポスター。
この言葉は、日本最大規模の広告大賞「宣伝会議賞」で協賛企業賞を獲得し、実際にポスターにまで採用された言葉でした。
このスパのお風呂の成分、効能、そして都会という立地や、オシャレでキレイな空間、そして価格、体験者の反響も、何も入っていませんが、何よりもユーザー目線で人々を引きつけ、そのスパの魅力を引き出した言葉でした。
一見この言葉には、そのスパの魅力や特徴は1つも入っていないように見えますが、「アタシ」という言葉と写真で女性向けの場所ということが分かります。
また、東京ドームの近くなので立地的にもOLが多く、20代後半~40代くらいまでの独身で多少お金に余裕がある女性をターゲットにしてるわけで、そういった女性はきっとキャリアウーマンとして会社で色んなストレスがおありでしょう、そんなあなた是非うちでストレス発散していってくださいね、という、一見、何も情報を伝えていないように見え、周辺を行き交う女性の心をグッと掴んだ、的確にターゲットに突き刺さる言葉だったわけです。
チラシにしても、たいていは概要や内容を細かく記載したものを配ってしまうと思いますが、そんな説明書のようなものを配布しても受け取った人は見てくれません。
auの携帯を持っている人にSoftBankの説明書を渡しているようなもの。
でも例えばそのチラシに「SoftBankは月々500円!」と一言大きく書かれていたら、「えっ?」と思いますよね。「なに、SoftBankってそんな安いの?」と、どのキャリアの携帯を持ってる人でも興味を引くはずです。
鳥取県民が見ても楽しいと思えるものを作る
「そうだ埼玉」の感想も、FacebookやTwitter、Youtubeのコメントを見ても、県外の人からも多く感想をお寄せ頂いてることが分かると思います。
埼玉県民を楽しませようと思った時は、鳥取県民が見ても楽しいと思えるものを作らないといけません。
そこの認識を変えないと、いつまでも身内だけで固まった地域プロモーションや町おこしになってしまって、自己満足で終わってしまうのです。
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埼玉ポーズを作ったクリエイティブ・ディレクター / SNS総フォロワー12万人 / 小説『ブルーハーツを聴かずに親父は死んだ』web連載中