続・今 埼玉県をプロデュースするならこの2つを推す【そうだ埼玉メルマガ】
上京組の奪取
前回に続き、私が今埼玉県をプロデュースするなら、「ゴルフ県埼玉」と、もう一つは、「上京組の奪取」です。
ターゲットは、東京の大学受験に合格し上京してくる地方出身者たち。
目的は、彼らを埼玉県に住まわせ、埼玉から通わせること。
黙ってても毎年東京には若者が山ほど上京してきます。
これを奪わない手はない。
地方の人が東京の大学を受験してる時点で、彼らはみんな東京への憧れが強いわけですから、18年間田舎暮らしでやっと花の都大東京へ行けることになったのに、何でわざわざ埼玉なんかに住まなきゃいけないんだよ、と、ほとんどの若者が思っています。
「埼玉でいっか」再び
なのでこの仕掛けもゴルフ同様、妥協案を拾いに行くことから始めます。
彼らは、SMARTなどのインテリア雑誌を見て都会でのオシャレな一人暮らしに強い憧れを持っています。
ただし、あの手の雑誌で紹介されているような家に住めるような奴なんか、実際は一割以下です。
21歳、大学生、港区、1LDK、広さ40?、家賃13万、なるほど、こいつの親は石油王かなんかなのかなという。
出身が北海道か。そうか、もしかしたらこいつの実家の庭から石油か徳川埋蔵金が出たに違いない。
インテリア雑誌で紹介されているのは、そうでもない限り、こんなとこに学生が住めるわけないだろうという広いところばかり。
でも実際に、本当に親が裕福で、そんなところに住める学生も現実にはいます。
なのでそういうところは取りに行く必要はありません。
唸るようにお金がある家庭なら、わざわざ埼玉県に住まずに、学校近くの物件を探すでしょう。
しかし、ほとんどの若者が、親の仕送りとバイトで細々とやるのが精一杯のはずです。
その精一杯を、せめてもう少し快適にしてみよう。
家賃を二万下げて年間24万浮かそう。
その24万でiPhoneの新型を買い、EXILEのライブへ行き、洋服もたくさん買おう。
早稲田大学?高田馬場?余裕で埼玉から通えるね。
明治大学?御茶ノ水?埼玉で楽勝だね。
東京音大?あれなんか池袋だから東上線確定だね、と。
市で特化させてもいい。
山形県民は蕨市でめっちゃ安く住めますよと。
山形県民限定!と言われたら上京してくる山形県民は一度はチェックするはず。
しかもそこは同郷の人が集まりやすいから不安も軽減する。
20年後には蕨市にチャイナタウンならぬ山形タウンができているかもしれない。
例えば地方から出てきた若者を住まわせるコミュニティのようなものを形成し、そこに住んで東京に通うことの楽しさを描ければ、都民や神奈川県民さえ動かせるかもしれない。
東上線、伊勢崎線、そして、京浜東北線の川口、このあたりを強化させながら始めて行く。
ゴールは、埼玉から都心に通う利便性の良さをイメージごと覆し、東京都民や神奈川県民までをも引っ張ってくることです。
浪人するなら埼玉
こんな話をうちのクリエイターチームとしていたら「浪人生もいい」といった意見もありました。
その男の友人は、地元に予備校が少ないから一人暮らしの練習も兼ねて他県から埼玉に越し、とりあえず埼玉で浪人生活を送っていると。
なるほど確かに、上京組より前に、浪人組を引っ張ってくるところからの方が現実的かもしれません。
浪人組は、「さあ、キャンパスライフを楽しむぞ!」ではないわけですし、親の援助も受けにくいため決してお金に余裕はないはず。
だから「とりあえず埼玉でいっか」という妥協需要が既に存在している。
なのでまずは浪人組を引っ張ってくることから始めるのもいい。
埼玉県に一度住んだら最後
埼玉に住んでいる浪人生達は、合格したら都内に出ていくでしょうか。
まず出ていきません。
そこは、住めば都知れば虜の埼玉県。
一度住んだが最後、簡単には出れません。
仮に出たとしても、都内に住む煩わしさからとんぼ返りです。
もちろん、資金的余裕があれば都内を選択するでしょうが、そこまで無理して都内に住む必要もないか、と、とんぼ返り、埼玉返りです。
仮に学生時代も就職後も都内で住み続けられたとしても、結婚して家を建てる時に埼玉に戻ってくる人も数多くいます。
とにかく埼玉県は一度住んだら忘れられない、そう、まるで一度抱いたら忘れられない…、や、これは例えがあれですが、そんな物言わぬ良さがあります。
この辺はもう言わずもがな、誰よりもあなたがよく分かっているはずです。
発信は狭く尖らせる
埼玉県の良さを発信しようと思った時、住みやすい、子育てに適してる、交通の便が、自然も都会も、などが必ず挙げられますが、発信するものを多くすればするほどそれは均衡的で平らなものになっていきます。
つまりそれは何も印象に残らないものを意味します。
プロモーションにおいて大事なのは、先週も記述したように「ターゲットを狭く」の通り、発信するものをなるべく尖らせて鋭利なものにする必要があるんです。
特に印象が弱い県の場合はここをしっかりと尖らせないといけません。
京都なら、そうだ、京都行こう、沖縄なら、おいでよ沖縄、そして、行くぜ、東北。
これくらいフワッとしてても、元のコンテンツ(県)自体が持っているイメージが強いので、あとはその追憶を明確なものにするような印象付けをどれだけ断続的に行えるかが勝負ですが、埼玉県が「おいでよ埼玉」と言ったところで「は?」と言われることは明らかです。
「子育てするなら埼玉県」と言っても誰の印象にも残らないんです。
「産むなら埼玉」くらい尖らせてはじめて「ん?」と人の耳に残り始める。
「住みやすい」という平らな良さであってもその中に含まれる意味を抽出して一点を尖らせれば、どんな県でも有効なPRは出来るんです。
「住みやすい埼玉県」よりも、「浪人するなら埼玉県」の方が明確だし注意を引ける。
例えば「埼玉浪人」という文字を大きく出し、侍が大宮駅前の予備校近辺をうろうろしてるポスターを張り出すだけでも、「住みやすい埼玉」よりは印象的なはずです。
「落ちたら埼玉」なんていうのも強い。
しょうがないだろ、お前は落ちたんだから東京なんかに住めると思うな、埼玉で我慢しろ、と。
埼玉ネタでヒットしたものの共通点
「埼玉県民には草でも食わせておけ!」で55万部ヒットの「翔んで埼玉」や、
「埼玉県に行くのよ・・」「嫌だ!そんなとこ知らない!」という親子の掛け合いシーンが話題となった「埼玉県のひみつ」のように、「落ちたら埼玉」という受験生向けの漫画を作って仕掛けていくのも面白いし、波及させやすい。
いわゆるこの手の自虐ネタも、ただいじってもらうだけではなく、そろそろ有効活用してもいい時期です。
プロモーションはとにかく変えていく
プロモーションは仕掛ける時期や時勢を見定めて、そのタイミングでやるにあたって、ベストな方法で行います。
また、入口と出口は同じでもその中では何度も何度も変化します。
それは、一つのアクションを行った時の反応を見ながらより効果的な方へ変えて行く必要があるからです。
アインシュタインの言葉で「狂気。 それは、同じ事を繰り返し行い、違う結果を予期すること 」というのがありますが、見込んだ結果が得られなければすぐに変えないといけない。
プロモーションは瞬発力と柔軟性です。
一分一秒ごとに時代が移り変わる以上、方法論はその倍の速度で、結果が出るまであらゆる方法で攻め続けないといけません。
なので来年はまた変わっていると思いますが、今、私が埼玉県をプロデュースするならこの2つです。
お便りをくれたたつろうさん、ありがとうございました。
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埼玉ポーズを作ったクリエイティブ・ディレクター / SNS総フォロワー12万人 / 小説『ブルーハーツを聴かずに親父は死んだ』web連載中