「武州煮ぼうとう」と「甲州ほうとう」の違いを山梨出身・埼玉在住の主婦が作り方から解説します
ライター : 富築
「ほうとうと言えば山梨県」と思っている人は多いはず。
しかし埼玉県深谷市にも、武州名物「武州 煮ぼうとう」と呼ばれる料理があるんです。
武州煮ぼうとうと甲州ほうとうは、同じほうとうでも全くの別物。
実は出汁から違うんです。
そこで今回は、山梨出身かつ埼玉在住の私が、埼玉県と山梨県のほうとうの違いを力説したいと思います。
武州 煮ぼうとうの作り方
食材と出汁
出典:深谷市役所
調理手順
- 大きめの鍋にたっぷりのお湯(出汁)を沸かし、薄切りにした根菜類と肉を入れてよく煮ます。
- 野菜が柔らかくなったら、ほうとうの麺が絡まない様に1本1本注意しながら鍋に投入しましょう。
- 麺が十分に柔らかくなったら、タレを入れて2分~3分ほど煮込みます。
- 火を止めてフタをし、5分ほど蒸らしたら完成です。
煮ぼうとうを作るうえで絶対に欠かしてはいけない食材が深谷ネギです。
そもそも深谷で生まれた煮ぼうとうは、特産品の深谷ネギと、市内で豊富に採れる根菜類を美味しく食べるために生まれた郷土料理。ネギはケチらず大胆に使います。
その他の具材は、鶏肉と季節の野菜を入れます。
今回は具材として、人参・大根・ゴボウ・里芋・しめじ・ヒラタケ・蒟蒻・油揚げを使用。カボチャは味がボケてしまうのでNG。
出汁は昆布から抽出し、干し椎茸の戻し汁も加えます。面倒な場合は粉末出汁でもOK。
スープは醤油ベースです。
今回は、麺とタレに彩の国優良ブランド「新吉の煮ぼうとう」を使用しました。
武州 煮ぼうとう完成
醤油の風味と昆布出汁がよく効いていて、あっさりとした味です。
翌日になると麺が汁を吸収して、かなり味が濃くなります。好みの問題ですが、調理後はできるだけ早く食べきった方が良いでしょう。
甲州ほうとうの作り方
食材と出汁
調理手順
- カボチャは煮溶かす用と、具材として残す用の2種類に分けておくと、見栄えの良いほうとうになります。カボチャの半量を細かく切り刻み(A)、残りは食べやすい大きさに切り分けてください(B)。
- 大きめの鍋にたっぷりのお湯(出汁)を沸かし、カボチャAを溶かして和風カボチャスープを作ります。
- カボチャB以外の、薄切りにした根菜類を鍋に入れてよく煮ます。
- 野菜が柔らかくなったら、ほうとうの麺を鍋にポイっと投入しましょう。このとき、麺の上にカボチャBをのせます。
- 麺が十分に柔らかくなったら、味噌を入れて5分ほど煮込みます。
- 火を止めてフタをし、30分~蒸らしたら完成です。
甲州ほうとうのメインは何と言ってもカボチャです。
地域によって、カボチャを荷崩れさせる派と荷崩れさせない派とに分かれますが、今回は私の好みでがっつり荷崩れさせます。
その他の具材は煮ぼうとうと同じでいいのですが、肉類は入れないのが一般的です。ただし、お客さんに出す場合など、食べ応えを出したいときは豚肉などを入れてください。
出汁は煮干しで取りましょう。出し殻は取り除いても構いませんが、そのまま具材の一部としてしまうのも乙です。煮干し出汁が苦手な人は昆布出汁がおすすめ。
スープは味噌ベースです。塩気の強い味噌を使います。
甲州ほうとう完成
味噌の塩っ気とカボチャの甘みがたまらない、濃厚な味わいです。
蒸らし時間が長ければ長いほど美味しくなっていきます。夕飯に作った場合は、翌日の朝頃にベストコンディションになっているはず。
結局どっちが美味しいの?
過去、深谷市では「深谷市産業祭」の特別企画として「N-One GP」(N-ワン・グランプリ)という、麺類最強の称号を賭けて戦う味自慢大会を開催していました。
深谷市からは名物の武州 煮ぼうとう、山梨県からはほうとう、群馬県からは、ほうとうによく似た「おっきりこみ」など、県内外のさまざまな麺類が集結。
その結果、武州煮ぼうとうは見事、8連覇を達成しています。
とはいえ、開催地が深谷市なので、ちょっと公平性に欠ける部分はあるかもしれませんが……。
個人的には、
- あっさり食べたい人、深谷ネギを美味しく食べたい人 → 武州 煮ぼうとう
- まったり濃厚な味噌味を楽しみたい人 → 甲州ほうとう
と考えています。
ぜひお試しあれ。
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美味しいモノ探しが大好きな主婦兼webライター。趣味は川越市内の散策とイラスト描き。川越市在住。