2019年12月26日

2021年の大河にも!新1万円札の顔 渋沢栄一記念館へ行ってみた

2021年の大河にも!新1万円札の顔 渋沢栄一記念館へ行ってみた

公式ライター : シオ・コージ

まもなく終わろうとしている2019年。今年も埼玉県はさまざまな方面で社会をにぎわせた。

なんといっても特筆すべきは映画『翔んで埼玉』の大ヒット。盛り上がっているのは埼玉県民だけとヤユされがちだが、もうひとつ埼玉をめぐる大きな朗報がこの春とびこんできた。

深谷市出身の近代日本経済の父、渋沢栄一が新一万円札の顔になるというのだ。


全国的ビッグニュース

とはいえ渋沢栄一の知名度はまだまだ高いとはいえない。

書いてる筆者も実はこの方が何をされた人なのかよく分からないくらいなので。

お勉強の意味も込めて、今回は渋沢栄一の人となりについて、格調高く書いてみたい。

渋沢栄一とはこんな人

渋沢栄一(1840~1931)は明治のころ産声を上げたみずほ銀行、王子製紙、東京ガスなど多くの企業に出資。

これらの企業はみな、現在では我が国のナショナルフラッグに育っている。

起業家たちのみならず、貧しい学生にも奨学金を提供したりと、まさに一万円札の顔にふさわしい太っ腹ぶりだったようだ。

地元深谷では敬意と愛情をこめて彼のことを渋沢翁とも呼び、その偉業をたたえた記念館もあるという。

これは行かないわけにはいかんでしょう。

これが渋沢栄一記念館

ということで行ってまいりました。

こちらのモダンな建物が渋沢栄一記念館。太い柱がギリシャのパルテノン宮殿のようだ。

壁面には赤いレンガを使用。これは市の交通の要所・深谷駅とも同じ。

深谷は明治のむかしからレンガを作り続ける日本煉瓦製造という会社もある、いわばレンガの町。東京駅の赤レンガも深谷産なのは埼玉県民なら常識。

もっとも深谷駅のはレンガじゃなくて実はタイルだという噂だが……。




上州のからっ風を受けて立つ渋沢栄一像

記念館に入ると、深谷のゆるキャラ「ふっかちゃん」と並んで、同じくゆるキャラ化してしまった渋沢翁がお出迎え。

これでは威厳が感じられないとお嘆きのあなたは館内を通り抜けて裏口へ出てみよう。

威厳があり過ぎの巨大な渋沢栄一像が、遠く上州の山々をにらんで立っている。こころなしか頭がでかい。

しげしげと銅像を見上げたあと、名物のからっ風に追われるように館内に戻り、展示室へ。

千円札の肖像に落選した過去も?

撮影禁止なので写真で紹介はできないが、ガラスケースの中は貴重なお宝の数々。ガイドさんがついて説明してくださる。

実は渋沢翁は以前にも千円札の肖像の候補になったそうだが、接戦のすえに対立候補の伊藤博文に敗れてしまったそうだ。

伊藤博文は立派なアゴ髭をたたえており、細かい髭の筋がニセ札が作られにくいという理由で選ばれたらしい。

まあそのとき選ばれなかったおかげで今回一万円札の顔に堂々昇格できたわけだが。

千円札、一万円札程度で驚いてはいけない。

地元には渋沢翁の肖像が入った十万円札もあるそうだ(もちろんおみやげ品)。

その渋沢翁、プライベートでは17歳下の女性と見事な年の差婚を上げているとかでちょっとうらやましい。

子供も両手の指では足らないほどつくり、耽美派の人々が崇拝するフランス文学者の渋沢龍彦もその血筋を引いている。

ではその渋沢栄一邸をお宅拝見といこう。

古き良きたたずまいの渋沢邸

1キロほど離れた場所に、旧渋沢邸である「中の家」がある。

記念館から市のコミュニティ・バス「くるりん」でも行ける。

立派な門の奥に由緒正しき日本建築。

たとえはよくないが横溝正史の犬神家の一族に出てきそうなお屋敷だ。

縁側からのぞむ庭の池にはニシキゴイが悠々と泳ぎ、水面に木の葉がはらはら舞い落ちている。

広い裏庭はこの季節紅葉が美しく、記念館とはまた趣のちがう癒やしのスポットだ。

もちろんここでもボランティアの方々が地元愛あふれるガイドをつとめてくださる。

近くになつかしの公衆電話ボックスも発見。

いまも現役のようだ。古き良き日本の風景が残っている。

2021年のNHK大河にも渋沢翁登場!

新一万円札の顔に渋沢栄一が選ばれ、地元もさぞかし盛り上がっているだろう。

と思いきや、やはり衰退はとめられないようで、今回のブームを目前にひっそりと商売をたたんだ有名店もあったという。

「もう少しがんばって持ちこたえてくれればねえ」と旧渋沢邸のボランティアガイドさんも残念そうに話していた。

その渋沢栄一、2021年の大河ドラマ『青天を衝け』でも取り上げられることが決定した。

渋沢翁を演じるのはイケメン吉沢亮。おそらく来年の年明けあたりから撮影が始まり、地元深谷でもひんぱんにロケが行われるであろう。

深谷が新たな聖地巡りのスポットとして盛り上がることを期待しつつ2020年を迎えたい。

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シオ・コージ

サイタマの片隅に生えた雑草ライター。県東部の地域フリーペーパーを中心に執筆。得意ジャンルは本、映画、音楽などですが、書く場所がなくてもっぱら個人ブログで発表。春日部市在住。



関連リンク


渋沢栄一記念館

http://www.city.fukaya.saitama.jp/shibusawa_eiichi/index.html

  • 〒366-0002 埼玉県深谷市下手計1204
  • 048‐587‐1100

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