ありえないメニューだらけと噂のパン屋「翠玉堂」行ったら噂よりすごかった【行田市】
ライター : 未衣子
秩父鉄道の行田市駅から徒歩で行ける商店街に、ヘンテコなパン屋さんがあります。
そのお店の名前は、翠玉堂(すいぎょくどう)。
どうしてヘンテコなのかというと……? 次の証拠写真をご覧ください。
こんなパンってアリなの!?驚きの翠玉堂ラインナップ
まずは翠玉堂で作られたヘンテコな惣菜パンの一部をご紹介します。
これらは、かつて販売されたパンの中で、あくまで食べやすい部類に入る、ほんの一部です。実際には、これ以上にヘンテコで、食べるのに勇気がいるパンが勢ぞろいしています。
土用丑の日に売られているという「うなぎパン」。原価割れしているので必ず買ってほしいとのこと。
こっから一気にいきます。
「かぼちゃのポタージュパン」。液体のスープを固形にしてパンに挟むという斬新な逸品。
一見美味しそうだけれど、よくよく考えたら炭水化物×炭水化物だった「アラビアータパン」。
まるでクリスマスディナーのお皿がパンに変身したみたいな「クリスマスパン」。
これをもらったら義理と本命どちらなのだろう……そんな疑問が浮かぶ「バレンタインパン」。
「ひなまつりパン その1」。ひなあられがそのまま入っている……。
「ひなまつりパン その2」。ちらし寿司がそのまま入っている……。
みなさんはこんなパンを、これまでに見たことがあるでしょうか?ないですよね。
これ誰が買うの?!
どうしてヘンテコ惣菜パンを作っているのか?
謎が謎を呼ぶ翠玉堂店主の平川さんに、直接質問してみました。
どうしてこんな変わった惣菜パンを作っているのですか?
お店を出した当初、惣菜パンはありませんでした。毎日毎日、同じパンを作り続けるのが息苦しいので、ふざけ半分で作り始めたのがきっかけです。
それにしても、壮絶なラインナップですよね。
「バカじゃねえの?!」っていうパンが置いてあったら、お客さんも楽しいじゃないですか。お客さんが来た時に、「バカですね!」って思われたら、こちらも楽しいかなと。
これは俺とお客さんとの駆け引きなんです。良いとか悪いとかじゃなくて、闘い。お客さんに買われたら負けです。
パンにうなぎを入れるのって、元を取るのが難しそう……。
うなぎパンは2800円です。うなぎを2800円で仕入れているので、パンとごはんの分も入れると、赤字ですね。
だいたいの惣菜パンは、1個でも売れ残ったら即赤字。プラスマイナスがゼロになればいいほうです。でも、うちは儲けるんじゃなくて、お客さんと俺との闘いだから。
そもそもこのパンは誰が買うのか?
翠玉堂への疑問はまだまだ尽きません。
いつも、どんな人がパンを買いに来るのでしょう。
ネットでお店のことを知った人が来るみたいです。ホームページは持っていないので、Twitterや記事かな?
今日のパンはすでに完売していますが、毎日こんなに売れているのですか?
惣菜パンは1日に10個しか作っていません。そんなに売れないって!(笑)
どんなパンを売っているかは、事前に告知していません。Twitterに写真を載せていますが、あれは作ったあとの事後報告です。
ひゃ~! お目当てのパンが買えなくて、怒っちゃう人がいないのかしら!
それは自分のお店だからできる所業なんです。ちゃんと利益を出すことを考えたら、絶対にこんなことできません。
でも、俺ひとりがやっていることだから、自分がすべての責任を被れる。そういう意味では、自由にパンを作っています。売れなくてもいいと思っているから。
そういう駆け引き、「翠玉堂」というお店がないと絶対にできないですよね。
うちに来なければ買えないものがあるっていうのは、圧倒的な強みだから。
お店に来なければ、できないことがある
独自の惣菜パンを武器に、すでに様々なメディアで取り上げられている翠玉堂。ところが、実はパン以外にも大きな強みを持っているのは、あまり知られていないかもしれません。
それは、人が集まって話をするのにぴったりな古民家の空間を、ちょっとしたアートイベントなどに利用すること。
ここに集まって来るのは、地元の若者を中心として、さまざまな年代、さまざまな趣味をもった人たちです。時には、みんなで店主の手料理を囲むこともあります。
アクセスの悪さをものともせず新規のお客さんを集めるネットで話題の翠玉堂は、地元の人たちの大切な交流の場でもあったのです。
埼玉の県北は今、「ここで何かをする」には悪くない場所です。開拓しがいがある。
そう、9年もこの地でお店の現在を築いてきた平川さんが言う通り、県北は今後、個人のお店を中心としてさらに豊かな地域になっていくかもしれません。
なにかのご縁で行田市の近くにお住まいの方は、ぜひここにしかないものを体感しに、足を運んでみてください。
その折には筆者と顔を合わせることもあるかもしれません。お会いした際には、ぜひ一緒にお話ししましょう。
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埼玉で文章を書くうさぎ。ゴーストライターとして生計を立てている。好きな埼玉は、鳥居観音、聖天宮、オートレストラン鉄剣タロー、ご当地キャラのカパルなど。鴻巣市在住。